クラブハウスに魅せられて 4.神戸屋レストラン
クラブハウスサンドが好きだ。
トーストされたクリスピーなパンに挟まれた塩気のあるベーコンとチキン、そしてフレッシュなレタスにトマト。
三位一体とはクラブハウスサンドを表現するために産まれた言葉ではないかと思う時すらある。
これは、そんなクラブハウスサンドを食べ歩く記録である。
クラブハウスサンドを取り扱う飲食店はさほど多くない。
チェーン店ともなるとなおさらである。
次の獲物を探してチマチマと電子の海を彷徨っていた私は、あるレストランに目を留め、狙いを定めた。
今回取り上げる神戸屋レストランである。
神戸屋レストランは、パンメーカーの神戸屋が運営するレストランである。ベーカリーと比較して店舗数は多くないが、兵庫および世田谷・調布を中心に8店舗を展開している。
今回私が訪れたのは、都内屈指の高級住宅街・成城である。
駅から歩みを進めること約20分、ようやく目当てのレストランが姿を現した。
神戸屋だけあってパン売り場が併設されており、奥がレストランコーナーとなっている。
広々とした店内に入店。すでにランチタイムのピークは過ぎており、人もまばらな店内でメニューを確認する。
パンに限らず様々なメニューが並ぶ。神戸屋レストランは窯出しパンの食べ放題メニューが人気となっている。
しかしながらクラブハウスサンドを注文してしまうと、パンとパンが被ってしまったな状態になるので、パン食べ放題を注文することは現実的ではない。
もしかしたら神戸屋でサンドイッチを注文するのは愚行なのかもしれない。
しかしそんなことは関係ない。
あくまで目的は1つだ。
クラブハウスサンドイッチ¥1,485にコーヒーをつけて注文だ。
コーヒーを飲みながら待つことしばし。
なお、ホットコーヒーはお替り自由だ。
お目当ての品がやってくる。
いきなりかぶりついてもいいのだが、慌てずまずは観察しよう。
ちゃんと温められた皿の上にのせられたのは4切れのクラブハウスサンドである。
神戸屋のクラブハウスサンド最大の特異点としては、4枚構成のパンだ。
クラブハウスサンドは具がチキンエリアとベーコン・トマトエリアに分かれているのが一般的(私調べ)であり、そのエリアを区切るパンはビッグマックのように1枚なのが主流だ。
しかしながら、神戸屋のクラブハウスサンドはエリアを区切るパンが2枚ある。
つまり、チキンサンドとBLTサンドという2つの独立したサンドイッチによる連邦としてクラブハウスサンドが成り立っている。
さしずめサンドイッチ界のボスニア・ヘルツェゴビナといった構成なのである。
そしていよいよ実食に移る。
神戸屋のクラブハウスサンドで特筆すべきはチキンである。
ローストではなくグリルされたチキンなのだが、柔らかくジューシーでとても美味だ。惜しむらくは、ジューシーがゆえに肉汁のせいでパンのクリスピーさが感じづらいことだが、それを補って余りある美味しさといっていい。
ベーコンは薄めであるが焼きすぎて硬くなったりなどがないのであまり気にならない。野菜とベーコン、そしてマヨネーズではなくタルタルソースが入っているのも良い。
そんな具材を挟み込んでいるのはふすま粉を利用したふすまパンである。
流石はパンメーカー、クリスピー目に焼き上げられているからか、パン4枚構成であってもさほど厚みがネガティブに感じられることはない。
パンは耳付きであるが、カリッと感を感じされてくれるので個人的にはアリだ。
また、クラブハウスサンドの陰に隠れるように、つつましやかに盛られたポテトは、芋感のあるいわゆるウェッジカットタイプのものだ。
ポテト用のケチャップがないものの、塩がしっかり振られているので単体でも十分にいける。
また、神戸屋でもクラブハウスサンドには剣形のピンが刺さっているのもポイントが高い。
ここは是非ともポテトにぶっ刺していただいていきたい。
さて、そんな十分においしい神戸屋のクラブハウスサンドだが、あえて弱点を挙げるとするならば、チキンエリアにあるキュウリの存在だろう。
厚いチキンの陰に隠れているが、あってもなくてもいい印象の割には厚みがある。チキンがパサついていないだけに水気を足す必要性もさほど感じない。
もっと薄くてもいいような気もする。
ここで、ある可能性に思い至る。
「このクラブハウスサンドは分けて食べることを想定されているのか?」
試しにチキンエリアとBLTエリアを分けて食べてみた。
確かに分ければキュウリの厚さが相対的に気にならなくなる気がした。
また、BLTエリアについても、分けて食べることでベーコンのスモーク感がより感じられて、果然存在感を主張してくる。
なかなかどうして悪くはない。
分けて食べてもいいように、とある程度想定されているような気がする。
しかし、単体ではどうも何か物足りない。
やはり豪快にまとめていただくことで、チキン・野菜・ベーコンの三位一体を楽しんでこそのクラブハウスサンドだ。
やはりこれだ。こうでないといけない。
チキン・BLTの連合は守られてしかるべきだ。
こうしてまた1つ、クラブハウスサンド征服の証を刻み込んだのであった。
今後も征服の旅は、続くかもしれないし続かないかもしれない。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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