血友病vs川崎病vsダークライ 5日目

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今日こそお弁当をと思っていたのに、寝坊した。
前日21時半頃眠ってしまい、気づくと2時だった。搾乳と食器の片付けだけしてまた眠り、起きたのは6時過ぎ。やはり睡眠不足は深刻だったようだ。

バタバタと階段を降りると、旦那さんがコタツで持ち帰り仕事をしていた。洗濯物も朝ごはんの準備も終わっているという。週でいちばん疲れているはずの金曜日にこれをやってのける旦那さん、ちょっとカッコよすぎるのでは。おかげで、先週のドラマをひとつ観ながら搾乳できた。
ご飯にレトルトの牛丼の具を乗っけただけだがお弁当もなんとか詰めた。鉄分に気をつけたバランスの良い献立は、今後に期待。旦那さんがそれだけじゃ寂しいからと、蒟蒻ゼリーを入れてくれた。

この日、わたこは自力で起きてきた。着替えもちゃんと選んで持ってきて、「ママおはよう!間に合った〜」と喜んでいたので、たくさん褒めた。一方、私の出発の直前になって、まめこは旦那さんに担がれて降りてきた。機嫌は最悪だった。昨日と同様に起きるのを諦めていたところ、旦那さんに「一日の始めにママに挨拶しないのは駄目だ」ということで起こされたらしい。しばらく私にひっついていたが、その日保育園でお誕生会があることを告げると、急に準備が捗り始めた。まめこの誕生日が今月でよかった。

なんとなくだが、旦那さんとまめこはバトルが多い。旦那さんも若い頃は寝起きが悪かったし、お互いに似ていたり気になったりする部分があるのかもしれない。親子にも相性があり、私はどちらかというとわたこに強く当たってしまう傾向にある。そして、わたこの最近の物言いはまるで小さい私だ。言葉選びや語調には気をつけねばと思う。思ってはいる



道が混んでいて、いつもよりやや遅めに病院に着いた。病院への道は、状況により90分近くかかってしまうこともあって困る。曲がる場所を間違えなければそんなに大変なことにはならないけれども

部屋には看護師さんがいて、たんたは珍しく泣いていた。朝の分のインクレミンシロップ(鉄剤)を飲み終わったところで、どうも味が嫌なようだ。看護師さんによると、後味に鉄っぽいエグ味があるらしい。
私が顔を覗き込むと一瞬キョトンとし、次第にいつもの「おお、きたか、おはよう」というようなのんびりした笑顔になった。すまんな、たんた、その薬は夜にももう一度飲まなければならない。

最初の授乳を終えて、たんたは何だかやる気に満ちているように見えたので、今日も早速部屋の外を歩くことにした。
元々プレイルームだったスペースに、大きな窓があった。たんたが入院しているのは11階で、眺めがいい。都市部にあり駅からも近く、運が良ければ電車が走っていくのが見える。乗り物に興味を示すとしてもまだ先の話だが、他にやることもないので、窓の外を動く電車や自動車をみながら色々話しかけた。
途中、1歳くらいの男の子がお母さんに抱えられてやってきた。軽く挨拶をして、「今何ヶ月ですか?」と訊かれる。うわ、この質問懐かしい!
明らかに新生児を卒業したばかりのときは、大体「うわ〜小さい〜!!」などと言われるものだ。首がすわるころを過ぎると、児童館でも病院でも、どこへ行っても「今何ヶ月ですか?」がママ同士の会話のきっかけとなる。1歳の子のママから見ると、なるほどたんたはちょうど懐かしく感じられるサイズ感だった。
色々お喋りしたいところだったが、病院のルールなので月齢の話と会釈だけで終わってしまった。長期入院の子のお母さんなどは、かなり孤独かもしれないと思った。


またお昼頃お風呂に呼ばれ、腕のストレッチをしてからたんたを連れていった。
ところで、点滴に繋がれているときは赤ちゃん用の入院着で過ごしていたが、点滴が外れてからは病院の服のレンタルは有料になるということで、前日のお風呂上がりから家から持ってきた着替えを着るようになった。
我が家の子供たちは、わたこが夏、まめこが春、たんたが秋生まれである(私と旦那さんは真冬生まれ)。0歳児は服のサイズアウトがとにかく早く、たんたは最初に買った50-60cmのロンパースなどはもうパツパツで入らない。季節がズレているため、今年の夏服に関してはお下がりはほとんど使えないことを覚悟していた。
しかし、何日目かの記録にも書いたが、病院内は温かく赤ちゃんは半袖で充分だった。つまり、もう使えないかなと思っていた夏服を着せるチャンスができたのだ。これはちょっと嬉しい。

昨日はスイカ柄、今日はサボテン柄。この際季節感はさておき、どちらもとても気に入ってよく着させていたなとわたまめの乳児期を懐かしんだ。この3姉弟、実は赤ちゃん時点での顔がそっくりなのである。写真を撮っておいて、あとで見比べてみようと思った。
そして、自前の服に着替えてからというもの、看護師さんがとにかく服を褒めてくれる。嬉しい。たんたもどこか自慢げである。

お風呂ではしゃいで体力を使うのか、その後は授乳から寝付く流れがスムーズだった。お弁当があるので昼休憩は短く終わり、部屋ではたんたがまだまだ眠りそうな様子だった。
気づいたらたんたのベッドに突っ伏して一緒に眠っていた。入院以来、初めての昼寝だった。



看護師さんに声をかけられて目が覚めた。次の授乳の前にフロベン、その次の授乳の前に鉄剤シロップを飲ませたいので声をかけてほしいということだった(乳児はお腹がいっぱいだと薬を飲まなかったり吐いたりする)。
看護師さんも色々で、このように事前に声をかけてくれる方もいれば、様子を見にやってきて今いけそうですね!と薬を渡してくれる方もいる。また、看護師さんがたんたに飲ませてくれることもあれば、お母さんやります?と訊いてくれる方、やったことありますか?じゃあお願いします!と渡して去っていく方もいる。バイタルチェックも、全部暗記でいく、メモをとる、その場でパソコンに打ち込む…とそれぞれ違っていたりするので面白い。
大変なお仕事だが、みなさん、一生懸命働いてくださっている。



しばらく遊んで、途中2種類の薬と2回の授乳をこなし、無事にたんたが眠りについたのはいつもより早い時間だった。

早く帰れることを伝えようと旦那さんに電話をかけたら、スマホの向こう側でおもしろトラブルが起きていた。
朝、お誕生会を楽しみに出かけたまめこは、お友達と先生にたくさんお祝いされ、写真付きの誕生日カードももらい、完全に今日が自分の誕生日だと思い込んでいた。旦那さんが明後日だと説明してもまるで聞く耳を持たないのだった。電話を代わってもらうと、こちらが何か言う前に「きょう、まめちゃんのたんじょうびなのに!」と悲痛なまめこの声が飛び込んできた。笑いを堪えながら「違うよ、」と言うと、もう大騒ぎである。
何とか気を逸らせないか、と考えて、帰り道にシャトレーゼを見かけたことを思い出した。

「まめちゃん、ママ、アイスが食べたい気分なんだけど、アイス買って帰ってもいい?」
「…」
「ケーキはもう明後日に注文しちゃってるんだ。だけど今日はアイスが食べたいんだよね〜」
「…いいよぉ」

あっさり落ち着いたので、もう一度旦那さんに代わってもらい、お店に寄って帰る旨を伝えてから電話を切った。実際、疲れた身体と頭は甘いものを欲していた。
シャトレーゼは苺フェアの最中だった。みんなで食べるアイスを選びつつ、どうしても我慢できずに苺のクリーム大福もひとつ買って車の中で内緒で食べた。うーん、節約のために弁当にするとか言っていたような。許してください。

節約と言えば、毎日長距離を運転することになり、ガソリンの減りも馬鹿にならない。今まで燃費が悪いと思ったことはなかった愛車だが、メーターが一日2目盛りずつ減っていくのを見るとげげっとなる。思わず、暖房のスイッチを切ってみたりする。
今こそ声を大にして言おう、ガソリンが高すぎる!!!!!いい加減にしてくれ!


久々に夕飯の時間に間に合い、みんなで一緒に鍋をつつくことができた。お風呂に入って、お待ちかねのアイスを食べた。味は好評だったが、まめこは「おなかいっぱい」といって少し残した。お前さんってやつは本当に、オチつけてくれなくていいんだよ。


6日目へ続く


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