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132【銀行融資改善の一歩目は?】地方在住経営コンサルタントの思索

写真は岡山県高梁市成羽町日名地区にある神楽公園です。備中神楽を興した国学者、西林國橋を記念した公園です。
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はじめに

弊社は財務コンサルティングを軸とする独立系経営コンサルティング会社です。主な業務は、過去と現在の財務データを根拠に、あるべき未来像とも言える経営計画を経営者とマンツーマンのインタビュー形式で策定し、その企業の理想像を明確化させ、あるべき全体最適を考えた上で、様々な部分最適を目指す改善施策の実行をサポートしています。

その部分最適の主要改善施策の一つが銀行融資改善。言い換えるなら”融資の最適化”です。

・今まで銀行融資に興味が無かった。

・銀行員さんを信頼しているので取引の見直しは考えたことがない。

・ちょっと取引に不満があってどう改善させていくか基礎を知りたい。

といった方々に読んでいただきたい内容です。

銀行取引の内容を覚えていますか?

はっきり言って、大多数の経営者さんは詳細に覚えていらっしゃらないと思われます。なぜかと言うと、関心事は主要施策や主要プロジェクトの進捗や成果が最大の関心事であって、融資による資金調達はその手段に過ぎないからです。

しかし、もし経営する企業の資金繰りが苦しかったり、多少重たく感じられる場合は、融資条件を精査することを強くお勧めします。

1.売上総利益率(粗利率)

2.販管費の比率と内容(特に固定費の削減が大切)

3.支払いと回収条件

上記の3つに加えて、資金繰りへの影響力が大きいのが融資条件です。

業種柄、製造業や、建設業、卸売業や小売業などはどうしても、仕入から売掛金の回収までにタイムラグがあり、経常的に運転資金が必要となってきます。言い換えるなら、その事業を回していくための運転資金です。読んで字の如く経常運転資金と呼びます。計算式は

売掛金+棚卸資産(在庫)ー買掛債務

となります。この金額については、本来、短期継続融資と呼ばれる、当座貸越や手形貸付でまかない、期限一括返済の方式で、期日ごとに継続していく、実質的に金利のみの支払いで、元金返済を伴わないカタチが、スタンダードであり、この部分の元金返済までしていくと、ボディーブローのように、資金繰りに不要な負担をかけてしまいます。

簡単にチェックポイントを言えば、一つの目安として4本以上運転資金名目での借入があり、すべて返済期間が1年以上の長期借入で毎月の元金返済の約定返済がある場合は、長期と短期バランスを調整する見直しを行えば、資金繰りが改善する可能性は大きくなります。

何をポイントに改善を考えればよいのか?

やはり、融資の分野はとっつきにくいと思います。しかし、自社の事業については経営者は興味と言いますか、関心は大きいはずです。ここでおススメするのは、銀行などの金融機関への最低でも2か月に1回ペースで経営成績の報告とレポートの提出です。ここでのポイントはとにかく気軽にルーティンとして報告しにいくというスタンスです。

①月次試算表
②経営計画
③資金繰り予定表

の3点セットを持参するカタチでもOKです。大事なのは定期的な業績報告と双方にとって建設的な議論となるコミュニケーションです。毎回必ず、次の面談予約を取ってから退出しましょう。この一連の流れを習慣化しましょう。最初は不慣れなので、思い通りにいかないとこともあるかも知れませんが、「案ずるより慣れろ!」の精神で取り組んでいただきたいです。融資が銀行主導になり過ぎないために、経営計画を策定し、明確な財務戦略、銀行交渉における方針を明確化して、きちちんとした判断軸を作って面談に臨めるとベストです。

名ばかりの”メインバンク”に騙されるな!

多少ショッキングな見出しではありますが、これは決して銀行批判ではなくてむしろエールです。銀行側のスキルや行員さんの担当企業に対する影響力が年々弱まっているのは事実です。更にコロナ禍があいまって、中小企業側もよほどの苦境に無い限りは調達に苦慮するという経験は近年ほとんどしていません。そのため資金面には無頓着になりがちで、もっぱらの関心事は、人材確保や原料高騰によるコスト高や、営業面というケースがほとんどです。

財務コンサルタント業をメインとする弊社が定義するメイン行の条件は簡潔に述べれば以下の内容です。

たとえ営業赤字に陥ったとしても、事業内容をきちんと理解した上で無担保のプロパー融資で支援してくれる。

財務コンサルタントの見地から

ということです。つまり、企業活動は浮き沈みがあって当然と理解した上で、信頼関係を土台としたV字回復への資金を他の金融機関より先んじて、打ち込んでくれるのか?ということです。

「そんなの絵空事。理想論じゃん!」と思われる方も多いでしょう。

・単純に融資残高シェア
・プロパー融資のシェア

などで、メインバンクを定義することがあります。しかし、大切なのはやはり信頼関係です。

よくある勘違いで、「預金口座があるから取引している。」「保証協会付の融資のみでも、融資取引していて充分支援してもらっている。」と言われる経営者がおられます。しかし、これらの状態では太い取引とは言えません。あくまで、無担保でプロパーの融資がある、という基準が意識すべき点の一つと言えます。

誰もこんな銀行取引における常識は教えてくれません。銀行員の業界では当然の常識は世間一般では非常識とは言わないまでも、知られていないことが多々あります。

ここで、大切になってくるのが前段で書かせていただいた、定期的な面談です。メインバンクにだけ定期報告をすれば良いのではなく、融資取引金融機関は全て実施していただきたいところです。しかし、その中で明確に自社で「メインバンクはここ!」と決めた上で、きちんと良好な関係性を育んでいただきたいと思います。

いざ、という時に支援してもらえる”メインバンク”の存在は経営者と金融機関双方の、定期的なコミュニケーションという日々の意識した努力が無ければ存在することはない!と肝に銘じてもらいたいと考えています。

まとめ

・銀行取引の改善の一歩目はまずは、銀行との定期的なコミュニケーションを主体的に実施すること。

・3点セット(月次試算表、経営計画、資金繰り予定表)を毎月携えて訪問する。簡単な現状分析と今後の方針をコメントしたレポートがあればベター。

・毎月銀行へ訪問していたら、必ず融資の内容は覚える。内容を覚えた上で、融資条件の改善と本当の意味でのメインバンクとの関係性を少しずつ育んでいくことが王道である。

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株式会社なかむらコンサルタンツ
代表取締役 中村徳秀

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