脱柵者は処分されます
地元のメンツで建てたマイクラのサーバで小一時間ほど作業をした。僕はこの世界で初めて文明的な牧畜産業を興したのでその管理運営を行う責任者になっているのだが、始めたてのころの雑な飼育環境がそのまま引き継がれてしまっており、ほとんど種別の仕切りもないような有り様だった。さすがにこれではまずいだろうと、近代的な牧場の開発を目指して柵の増設、通路の確保、厩舎の建設などをチマチマと進めているのだ。自動給餌機等も導入できるらしいが、それでは僕の仕事がなくなるし、手塩にかけた家畜だからこそ、屠殺してお肉をいただくことの重要性をより感じられるはずなので、しばらくは見送ることにする。
食肉用の豚・牛、繊維用の羊、それから馬といったいわゆる家畜と呼ばれる動物はもちろん飼育しているが、畜産業といいつつ亀やパンダ、ラマなども収容飼育しており、さながら動物園よろしくたくさんの動物でいっぱいだ。必要に応じて公開されている動物たちを屠殺することになるが、最近は面倒くさいので屠畜場へは連れていかず、そのまま同胞の見るなかで首を落とす作業をする。いわば「屠殺場兼動物園」だ。気の置けない連中なのでわざわざ咎める者はいないし、非公開の屠畜場は居住空間の一部を兼ねているので外での作業もやむなしとされている。誰しも、寝床の真下で悲痛な豚の鳴き声など聞きたくはない。しかしそんなエクセキューショナーである僕に懐いてくる家畜はいったいなんなんだろうか。肝が据わっているというかなんというか……。改築に際してもたくさん殺めてしまった。肉は適切に保存し、無駄なく利用できるのだが、やや性急な屠殺だったことは否めない。せめて美味しくいただこうと思う。
生きるわよ