アスガルドの大地の香り

バスルームに見慣れないボディソープがあることに気づく。物好きな一家なので、誰かが個人輸入したかなんかだろう。日本の日用品ではおよそ見ることのないだろう真っ赤なパッケージ。オールドスパイスというやつで、海外ではポピュラーだということはウワサに聞いていたけど、この前観た『ソー/ラブ&サンダー』でアスガルドとコラボしていて笑った。別に本来の史跡があるわけでもない地方の土地に、なかばテーマパークと化した観光地としての再現都市が築かれているというのはどことなく日光江戸村的な趣がある。というかふつうにディズニーパークか。まあ、アスガルド人は平時あそこに住んでいるという点では純然たるテーマパークとはいえないんだけど。そういう意味ではやっぱり地方の観光地なんだな。実際、魔法に間近で接することができるというのは非常に羨ましい。ただし、ヘラが砕いたムジョルニアはその史料としての役目を終え、ふたたび「ソー」の手に戻ってしまったのだけれど。ハンマーなき今、アスガルド人の保有する文化資産は大きな損失を受けたと見える。ヴァルキリーが今後どのようにアスガルドを運営していくかがとても気になるところだ(なんのはなしだ)。

オールドスパイスとのコラボも、そうした観光地としての存続の方法を模索したうえでの結論なのだろう。もしかしたら本国アメリカではちゃんとアスガルドの名産品かなにかをモデルにしたフレーバーが実際に売られているのかもしれない。うーん、ちょっとだけ欲しい。オールドスパイスはたしかにいい匂いなのだ。

生きるわよ