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カフカスの虜、及びシューリクの新たなる冒険

今月は、ベルリン国際映画祭が開催されないので、「ひとり映画祭」と銘打って映画鑑賞月間にすることに決めた。

前回はタルコフスキー監督作品の「ストーカー」について触れたが、その流れで見つけたモスフィルムのオフィシャルサイト上の作品の中でも特に視聴者数の多かったレオニード・ガイダイ監督による1967年製作されたコメディ映画、「カフカスの虜」を観ることにした。

古き良きソビエトコメディー作品。
民俗学者である青年シューリクは、伝承を採集するためにカフカスへ赴く。そこで彼は「スポーツができて、コムソモール(ソビエト共産党の青年組織)所属で、且つ美人」な女の子、ニーナに出会う。しかし、ニーナは狡猾な地方長官に無理やり結婚を迫られた挙句、誘拐されてしまう。シューリクはニーナのささやかな幸福を守るために立ち上がり、長官打倒を決意する…。
Киноконцерн "Мосфильм"のYouTubeオフィシャルサイトより

上の説明にあるようにまさに「古き良き」コメディー映画。言葉が分からなくても、子供たちが画面を見て思わず吹き出してしまうようなシーンが冒頭数分で出てくる。個性派揃いの役者の演技も素晴らしい。

扱われているテーマは「誘拐婚」という実はかなり重いテーマなのだが、それを喜劇仕立てで笑いに昇華しているという点ではやはり時代を感じてしまう。

ブログの方で偶然、カフカス山脈に今でも残る伝統である「誘拐婚」についても書いているので興味のある方は一読してみて欲しい。

誘拐婚の扱い方云々についてはここではこれ以上触れないが、コメディー作品としては第一級なことには間違いないし、今でも人気がある作品であることには納得が行く。日本語字幕付きなので助かる。

主人公のシューリクが出てくる作品がまだあるようなので、こちらも観てみたいところ。『作戦コード<ウィー>とシューリクのその他の冒険』 (1965)。こちらは字幕はないようだ。

「カフカスの虜」の中に登場する悪役3人組の冒険映画『Самогонщики』(1961)も気になっている。無声映画なので、これだったら子供たちと一緒に観ても良さそうだ。

この映画の中で流れてくる曲に聞き覚えがあり、なぜかとても懐かしい気持ちになった。もしかするとモスクワにいた頃に台所に置かれたテレビで観たことがあったのかもしれないし、ラジオから流れてきた曲だったのかもしれない。

「あ、この曲知ってる!」

ある種の音楽は一度聴いたらなかなか忘れないものだ。気になったので調べてみると、アイーダ・ヴェディシェヴァの「くまの歌」だった。日本の昭和を彷彿とさせるように思えるのは気のせいだろうか。




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