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寒かった2021年夏のベルリン映画祭

今日も、というか昨日はベルリン映画祭の野外シネマの席で凍えていたので、今日は夏日になった。

今晩、映画を観に行かれる方は、あまりの寒さにふるえながら映画鑑賞をすることにはならないだろう。幸運の持ち主である。

今日は夏日だったが、こんな日に限って映画祭ではなく病院の予約がふたつも入っていた。ひとつは整形外科(Orthopädie)、もうひとつは息子の矯正歯科医(Kieferorthopäde)である。

足の方は筋トレとストレッチを続行しつつ、様子を見ましょう、ということになった。トレーニングをすれば刺激を与えることになるので、痛みは増すが、それは避けられないことで悪い兆候ではないとのこと。負荷をかけすぎて痛いのかな、と不安になっていたが必然的なものだと聞いて安心した。

痛いといえば、昨日も色々とやらかしてしまった。廃墟ツアーにSDカードを抜いたままのカメラを持参したことが致命的なミスだったが、それだけでは済まなかったのである。

夕飯も食べ終わり、最高に眠くなったタイミングで今度は映画祭である。正直、ロックダウン中は夜間に外出することなど一切なかったため、20時過ぎに家を出る、ということ自体が久しぶりである。急いで準備をして会場に向かう。夕日がいい感じに、ベルリン大聖堂に当たる時間帯。その向かい側にある美術館島もベルリン映画祭の会場になっているのだ。

入り口でウォレットに入れておいたチケットと身分証明書を見せ、、(パスポートはどこに??)そう。パスポートをうっかり(この日2度目)置いてきてしまったのだ。困った。廃墟ツアーに出かける際に、財布の中に写真付きのプレスカードを忍ばせておいたのが功を奏し、何とか事なきを得る。

野外会場でも設営が非常にうまく、クロークやトイレ、軽食スタンドまで準備されていた。シートも一席ずつ間が設けられており、コロナ対策への配慮が見える。自分の席につくまではサイト内はマスク着用が義務付けられている。スクリーン前のステージと照明、フォトセッションコーナーまで。技術協力をしているZDFやARRIなどのお陰だろう。

21時になった。あー、これでやっと久しぶりに映画がスクリーンで見られる!と思いきや肩をあらわにした司会進行役の女性がステージに上り、挨拶を始めたではないか。え、この流れってもしや授賞式なのでは?そんな案内書きはチケット予約サイト上にはなかったではないか。授賞式+映画上映って4時間コースということなのでは!?

そんな体力も気力も残っていなかった上に、この日は日中からすでに寒かったのだ。日が落ちると気温も一気に下がる。1時間半ほどの授賞式が終わった頃には体の芯から冷えきってしまった。上着を着てストールを巻いてもだめ。セーターがいるほど寒かったのである。その寒さが禍いしたのだろう、授賞式関係者たちは式が終わると、雲の子を散らしたようにその場から退散した。

金熊賞を受賞したルーマニア映画の上映は、なんと観客席が半分くらいしか埋まっていない状況で始まったのである。野外上映の難しさ、それは天候。

24時前にとうとう寒さと疲れが限界に達し、途中で席を立つことにした。家に向かって歩き出した。真夜中の静かなベルリンを歩きながら、強烈な映画の冒頭シーンが脳内ループし、一度足を運んだルーマニアのブカレストの街並みが揺れていた。最後まで観たかったんだよな…


タイトル写真:Babardeală cu bucluc sau porno balamuc · Competition · Freiluftkino Museumsinsel · Jun 13, 2021 / Berlinale 2021

スクリーンショット 2021-06-14 21.28.13

↑オフィシャルサイトには授賞式のことがわりとしっかり記載されていた。



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