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時間通りに目的地につけないベルリン(ドイツ)

昨日はスポーツの早番だった。遅番とは違い、なぜか時間があっという間に経ち、気づいたらもう17時になっていた。仕事は順調だったのだが、職場に到着するまでが大変だったのだ。

自宅からはトラムか地下鉄でSバーンという大阪でいうところの環状線が発着する駅に向かう必要がある。そこからSバーンで15分ほど走ったところにテーゲル空港までの専用バス発着駅があるわけだ。Sバーンが運休してしまうと地下鉄を乗り継いでバス発着駅まで辿り着く必要が出てくる。

昨日はトラムでSバーンの駅に向かったのだが、行き先の掲示板を見ると目的地よりひとつ手前の駅が終点になっていた。環状線なのにどうしたんだ。その下に出ているテロップには「破壊行為のために振替バスが運行します」とあるではないか。破壊行為って何!?うわー、やられた。よりにもよって手前の駅までしか運行していないのである。ホームに立っていた職員に尋ねると、連絡が入ったのが朝の5時だったらしく職員たちもそれほど状況をよく把握していなかった。

「こういうのがもう最近はほぼ日常茶飯事になってるんですよね、残念ながら」

職員はそんなことをため息混じりに言った。同僚ともよく話題になるのが遅延の問題。スムーズに着く方が珍しいくらい、ストライキやら破壊行為やら車両の不備やらで遅延が多発するのが最近のベルリンの公共交通事情なのである。何が「時間に正確なドイツ」だよ、と言いたくなる。そんなイメージがどこから作られたのかはわからないがとにかく昔の生真面目なドイツなんてもはやどこにも存在しないのである。ベルリンはそもそもドイツでも例外的な街なのではあるが。それにしても。

次の列車まで8分、そこから振替バスに乗って10分、そこから専用バスで10分。少なくとも30分はかかる計算であるがそんなにスムーズな接続になるはずがない。実際はひとつ手前の駅に着いてホームから道路に出ると、行き場を失った乗客たちが文字通り右往左往しているばかりでバスの姿などどこにもなかった。ここにこそ職員が必要なはずなのに誘導する職員がひとりもいないのである。振替バスが停車する場所もわからなければ、道路の向こう側なのかこちら側なのかもわからない。めちゃくちゃである。

案の定、わざわざ向こう側に渡ったにも関わらず、元いた場所にバスが来たのを目撃する。信号のない道路をなんとか突っ切り、人混みを掻き分けてバスに乗ったら、バスに乗り遅れたチームリーダーの姿を発見した。彼は間違いなく遅刻である。自分の方はといえば、専用バスにうまく乗れさえすれば数分前に到着できるかできないかの瀬戸際にいた。

「ほんとひどいですよね!」

すし詰め状態のバスの中で目があった乗客と声を交わす。イライラしても仕方ないのだが、出発しようとするバスに無理やり乗り込もうとした乗客と運転手が大声で怒鳴りあっていた。朝っぱらから大変である。

「揉めてないで出発してくれー!」(と心の中で思いつつ、ちょっと声に出た)

駅に着いたら着いたで、これまたバス停の正反対の場所で降ろされた。しかも幸か不幸か遠目にバスを確認してしまったではないか。いちかばちかでダッシュをしたら、親切な人がバスに片足をかけてバスをキープしてくれている。さらにスピードを上げてなんとかバスに乗り込む。ゼーゼーハーハー。どこまでもアクティブな職場。朝から走り込み。時計を見ると8時40分だった。バスを飛び降り、空港内を走って8時55分の就業開始2分前にチェックイン。もう間に合っただけでもエライと思う。もう今日の仕事としては十分頑張った。しゅーりょー!

チームリーダーは20分遅れ、ほかの同じ列車に乗っていたと思われる同僚は振替バスではなく普通のバスに乗ってしまい30分遅れ。
「なんか違うバスに乗っちゃったんだよね!」

ベルリンの公共交通網で時間通りに目的地に着くのは日に日にハードルが高くなっている。みんなおつかれさま!!そして遅延による遅刻の恩赦はないんだそうだ。間に合ってよかった。


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