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神々を拝んできた

まだ休暇中の息子が家にばかり籠っているので、「どこか行きたいところない?」と尋ねたら「いつものとこで何かやってない?」という返事が返ってきた。いつものところ、というのはベルリンのアレクサンダー広場やフンボルト大学の側にあるフンボルト・フォーラムという博物館のことだ。

息子は博物館併設のビストロで食べるランチがお気に入りらしく、そこの展示であれば割と行く気になってくれる。少しだけ日が差す瞬間もあったが、今日も曇天に近いスッキリしないお天気。

ドイツに正月三が日はないのだけれど、日本から立て続けに入ってくるニュースが辛いこともあり、今回は神々を拝みに行くことにした。

Mahamayuri Vidyarajni / 大孔雀明王(15世紀、中国)

大孔雀は仏教では守神として信仰されており、インドでは蛇や疫病から人を守るとされていた。中国では8世紀に王朝の習わしで雨をもたらす竜をコントロールする役目が与えられていたとされている。

マンガアカの肖像(19世紀中期から末期、コンゴ)

中央アフリカのンキシ・ンコンディ彫刻はアフリカ美術に広く見られるジャンル。特定の魔力が宿るとされるこれらの精霊像はコンゴの彫刻作家と儀式の担当者との協力によって作られ、誓約や合意を記録し悪の撲滅を象徴した。

十字架(19世紀頃、エチオピア)

エチオピアではこの十字架は信者たちを危険や疫病から守るとされていた。

神々の展示だけではなく、アンコールワットやタイの人形劇に使われる人形の展示やその他ありとあらゆる展示があり、いつものごとく途中でリタイア。展示を見ながら息子が「ママは神様って信じてんの?」と聞いてきたのが面白かった。特定の宗教や神様を信じているわけではないが、神様を眺めていると心が落ち着くのは確かだし、これだけさまざまな文化圏に信仰の対象があるということは人を超越する不思議な力、みたいなものはあるのではないだろうか。

世界中の神様に総動員を願いたくなるようなことが立て続けに起こっているが、今年はなんとか軌道修正をして心穏やかに日々の生活に専念したい。そんなことを思いながら果てしなく続く展示ホールを歩いた。


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