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明るい話題

普段からメッセージのやり取りは頻繁にあったけれど、なかなか直接会って話をする機会を持てなかった人がいた。

久しぶりに会いましょう、ということになり著名な建築家が関わったというとあるカフェでランチをすることになった。

いつも展覧会やシアターの演目など、ジャンルを問わずに情報を飛ばしてくれる人なのだ。そういったものに対する感度の高いアンテナを持っている人。

実際に面と向かって話す、というのはほとんど初めてに近い状態。SNSというのは不思議なもので、テキストだけでもなんらかのやり取りをしたことがある人との距離というのは割と近く感じるものなのだ。

テキストメッセージだけでも、その人なり、というのは見えてくる。それこそツイッター上の短いやり取りでも、同じことが言えるわけだ。それなのに「眠い」とか「疲れた」とか「今日は何も進まない」とかいう類のどうでもいい内容の投稿は極力控えようと思いつつ、そんなことをつぶやきがちである。ここで改めて、反省しておきたい。どうでもいいんだけど。

話題は「初めてのベルリン」から「コロナ」「共通の友人」「家族計画」などなど色んな方向に飛んでいった。ひとりで考えているより、誰かと話している方が思いもよらぬ方向に思考が飛んでいくので、その成り行きを俯瞰するのが結構好きなのかも。

今のご時世、残念ながらそれほど明るい話題にはなりにくい。「生と死」みたいな話が続いた時に、そんなことをふと呟いたら彼女はこう言った。

「でも、今後、今以上に明るい話題って出にくいような気がするんです。」

そうなのか。そうだとしたら大変な将来しか待っていないことになる。明るい話題がほとんどないなんて辛いではないか。脳天にハンマーを落とされたような気分になった。ある意味、ものすごく的を得た辛辣な意見。やはり面白い人である。

実際はそうなのかもしれないが、それでも明るい話題作りに自分なりに励みたいものだなぁ、と。こういうのを悪あがき、というのかもしれないんだけれど。そんな大袈裟な「ビッグニュース!」である必要は全くなくて、日々のちょっとしたできごとや自分自身の一ミリの進歩、みたいな些細なモノ・コトを大事にしていきたい。

それに、日常生活において、いい本や映像、音楽と美味しいコーヒーがあればもうそれで十分。後は、友人たちとの気の置けない会話、かな。

「イカゲーム」繋がりで、というわけではないがランチには「イカのフライ」を注文した。美味しかったので許す。



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