歌とその歌詞、その時の心情
混乱したり落ち込んだりしたときによくやること。とにかく周囲の雑音をシャットダウンして、ノイズキャンセルできるヘッドフォンで音楽を聴く。そして、こういう時は歌詞を目で追いながら邦楽を聴くことが多い。
安全地帯、白神真志朗、ぼくくり。
すーっと伸びのある声に乗って流れてくる歌詞のテキストがとても重要なのだ。本を読むのではなく音楽とそのテキストを追う方がしっくりくる。ドイツに住んで長くなった今は、日本語の歌詞がストンと乾いた心に沁みわたる。
そういえば、日本で学生をやっていたときは満員電車が嫌でいつも音楽を連れて通学していたのを思い出す。それこそEinstürzende Neubauten辺りを聴いていたような…改めて聴いてみるとお経だとしか思えなかった。
できれば一緒に歌えればいいのだけれど、なかなかそういうわけにもいかない。自分ひとりで抱え込んで声に出せない想いみたいなものを吐き出せる「発声」という行為には、どこか浄化作用のようなものがあるに違いない。
大きな声で歌えない代わりにと言ってはなんだが、ヘッドフォンで音楽を聴きながらジョギングをするのもいい。飛ぶように走れないのが少し残念ではあるけれど、曲によっては一瞬ふわっとした浮遊感を味わうことだってできる。
音楽は少なくとも、ここではないどこかに連れて行ってくれるような気がするのだ。
こんなふうにジョギングのときに聴く音楽は、次の一歩を踏み出す力にだってなり得る。もう音楽なしでは走れない。生活から音楽を切り離せないのと同じように。
次の一歩を踏み出すエネルギーを与えてくれて感謝。そんな気持ちで今日も音楽を聴いている。
半透明で薄い壁が
あなたを隔て拒んでいた
もうどうかしてるみたいだよ
凍りついたベッドに
今日はまだ帰らない
もうどうかしてるみたいなの
明日からの全部を
諦めなきゃいけない
作詞 作曲 白神真志朗
不思議なことにアップテンポの明るい曲じゃなくてはだめ、というわけでもないんだよなぁ。
ソニーのNCヘッドフォンを愛用中。現行モデルではなくひとつ前の世代。
タイトル写真はソニーストアよりお借りしました。