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雨の土曜日かと思えば晴れている

今日は土曜日。平日は子どもたちの通学時間に合わせてお弁当もどきを毎日作っているので、6時半過ぎには起床することになる。今朝はサッカーの試合もなかったので、気の済むまでベッドでウトウトしていたら10時過ぎになった。

本来、土曜日はこうでなくてはいけないのだ。あくまでも個人的希望として。

息子はすでに起きていてパスタの残りで朝食にしたらしい。そうか、それならとエスプレッソでカフェラテをつくり、トーストと目玉焼きで朝食をとることにした。

寝過ぎてしまったが、今日は気になるデモがあったので様子を見に行こうと思っていたのだ。改めてベルリン警察のサイトでデモの時間と場所を確認するが、新聞記事で目にしたものより開始時間も早ければ集合場所も違っている。あれ?これでは間に合わないじゃないか。

バタバタしても仕方ないし、子どもたちのお昼ご飯の準備もあるので、予定を変更して行ける時間に家を出ることにした。結局、ギリギリになって家を出たものの、トラムは工事の影響で途中までしか走ってくれないし、地下鉄までは少し歩くしで到着時間がますます遅くなってしまった。

現場に着いてみると、デモらしいものは影も形もない。やはり、新聞記事の情報が正しかったのかも。行こうと思えば行けたが、何だか気分的に疲れてしまって、そのまま近くのアジアショップで買い物をして帰宅することにした。

デモのような流動的なものは、開始時間に合わせて現地入りしないとどうしようもないのだ。最初から諦めつつ出発したので、それほどガッカリはしなかったが、スッキリもしない。そもそも、ベルリンに戻ってから気持ちがどうもスッキリしないのである。

なんてことを考えながら横断歩道を渡ろうとしたら、目の前でパッと信号が赤になった。が、足は踏み出していたのでそのまま渡ろうとしたら、左折する車にやたらと大きなクラクションを鳴らされた。なんだよ、と左手にうんざりした視線を走らせると警察の車だった。そこでさらに気分が悪くなる。

先日、偶然目にした新聞記事を思い出したからだ。無賃乗車を続けていたシリア人家族の家に警察がやってきたのはいいが、そこで差別的な発言をした、というものだった。

ドイツに住んでいる移民背景を持つであろう人がツイートで警察の発言を„Das ist mein Land, Du bist hier Gast“: で引用していたのだが、要は「ここは私の国だ。おまえたちはここではゲストだ。」というような発言で、それがまさに移民世代の抱える感情だ、といったツイート内容だった。

元になる記事の引用がなかったので、コメント欄を元に検索すると以下の記事に当たった。

ベルリン在住のシリア難民家族をベルリンの警察が訪問。理由は750ユーロに上る無賃乗車の罰金を未払いだったこと。子どもが泣こうがお構いなしにシリア人男性を後ろ手に取り押さえた挙句、上記のような言葉を放ったらしい。

大きなクラクションの音と警察の車でこの記事のことを瞬時に思い出してしまったのである。多様性は容易ではない。それはここで生活をしていれば肌で感じる。ただ、インフレや社会不安が肥大するであろう今年の冬に向けて、これまで寛容だった人々が不寛容になるんだとしたら怖いことだと感じる。

煩わしいことに対する耐性が減っているので、こういう記事を読むと本当に気分が滅入ってしまうのだ。こんなの氷山の一角でしかないわけで。

まぁでも、自分の身を守りつつできる範囲で人に寛容でいるしかないのだろうな、と窓の外を眺めている。晴れてよかった。


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