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病院への心理的なアクセスの悪さ

・アフターピルは、「避妊に失敗した」「レイプされた」などの妊娠が心配な性交渉の後、一定時間内に服用することで高い確率で妊娠を防ぐことができる薬だ。日本初の認可アフターピル「ノルレボ」は性行為から72時間以内に1錠服用するもので、24時間以内の服用で95%、48時間以内で85%、72時間以内で58%となっている。ただ、妊娠阻止率が100%ではないうえ、コンドームのように性感染症を防ぐこともできないため、あくまで「最後の砦」としての使用が適切であるとされている

・オーキッドクラブ(女性のQOL向上を目的とした産婦人科医による団体)による「避妊薬ピルに関する意識調査(2012年)」によると、20~30代女性のおよそ10人に1人(12.3%)が「アフターピルを使いたい状況」に直面した経験があるそうだが、「医師の処方箋が必要」「価格」という2つの要因でアフターピルへのアクセスは悪い

・アフターピルは一度OCT化が見送られたが、2019年1月から、不適切なオンライン診療が頻発していることを背景に、オンライン診療によるアフターピルの処方が厚生省の検討委員会で議論されはじめている。ただ、近年、SNSやフリマアプリ等を使ったアフターピルの非合法な販売が横行しているのであまり議論に時間をかけている余裕がない現状だ

病院への心理的アクセスの悪さは、一体どこから来ているんだろう。

病院に行くのは年に数回ほどだけど、普段から不健康な生活を送っているせいか問診のたびに怒られるんじゃないかとビクビクしながら答えている。

自分の意識が及んでいないことを指摘されるのなら、言われて初めて反省できるのでありがたい。けれど、自分にも落ち度があると十分反省していることについて責められるのは、正直言って辛い。

NPO法人ピルコン理事長の染矢明日香さんによると、やっとの思いで緊急避妊の受診にたどり着いた若い女性が、高圧的な態度で医師や医療スタッフから説教をされることが実際起こっていると言う。さらに「もう性交渉をしない」という誓約書を書かされるといったひどい事例もあるそうだ。

「避妊に失敗したかもしれない」というのは、想像以上に心理的な負担を強いる。けれど、アフターピルは性交後72時間以内に服用しなければ効果が期待できないというリミットがある。動揺して判断力も鈍る中、それでも病院に行かなければ、処方してもらい服用しなければ望まない妊娠を防ぐことはできない。

もちろん中には性に関する知識の乏しさから(そして知識を身につける努力もせずに)何度もアフターピルを飲む事態になっている人もいるだろう。けれど、後悔と反省をしきってから病院に足を運んだ女性に対して責めるような対応はして欲しくない。

一度でもそのような対応をされると、どんどん病院に足を運びにくくなる。もし同様の出来事が起こった場合、「責められるから行かない」という選択をしてしまっては元も子もない。

何も優しくしてくれ、慰めてくれというわけではない。淡々と事実をヒアリングして、アフターピルの説明をきちんとし、処方箋を出してくれる。そのほうが余程動揺がおさまり、自分に落ち度があった場合は改めて反省できるはずだから。


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