時々こどもに大事なこと気づかされることあるよね

とある予備校で働いていた時のはなし、、、

その日は中三の授業がある日だった。
しかしわたしは高校生対応の打ち合わせで出勤していたため、持ちコマゼロ。
打ち合わせもスムーズに終わり、超暇だったんだ。
中三の授業は6時から。5時半には打ち合わせが終わってしまってたんです。
一応何もしていなくても校舎にいる限り賃金が発生し続ける、塾業界にしてはホワイト企業だったので受付のパソコンでYoutubeをみて暇つぶししてたんですよ。
そうです、給料泥棒です、、、、

そして6時15分くらいだったでしょうか。ひとりの中三女の子が遅刻してやってきました。
おとなしくて控えめで、けれど成績は抜群。たしか偏差値は70近くあったはず。部活はお姉さんがテニス部だったから、この子もテニス部だよなきっと。めがねをかけ、いわゆる典型的な「いい子」。
そしてこの子の何がすごいかっていうと、どの生徒に聞いても「〇〇ちゃんは優しい、すごくいい子」
そういわれていたのです。たしかにこの子がだれかの悪口を言っているのは聞いたことがない。不満を漏らしているのもみたことがない。本当にうらやましい。わたしもこんな子に生まれたかったもんだ。
人を傷つけることは決してしない、文句も言わない、まさにいい子。

彼女が来たとき、たまたま受付にわたしひとりだった。
やることはYoutubeをみることくらいだったので、はなしかけた。

「おーーおつかれさん。今日はどした?部活か?」

「はい、部活だったので遅刻しちゃいました。すいません、、」

なぜ謝る?謙虚なほんとうにいい子だ。いつかこんな娘ができたらいいな。
そして彼女は遅刻したときに書かなければいけない遅刻届という用紙の記入を受付ではじめる。

「そっかそっか。試合かなんかだったのか?」

「はい、今日は大会でした。」

「おーー大会か!どうだった?勝ったか!?」

「、、、、、勝ち負けじゃないんです、、、」

彼女は遅刻届を書きながら、私の目を見ずにそうこたえた。
わたしはなんてだめな人間なのだろう、、!!彼女は見た目からしてどう見ても運動不適合者、、!それは彼女も自覚しているはず、、!テニスだって弱いことは自覚しているはず、、!
けれどもきっと、彼女にとってそれは問題じゃないんだ。勝ち負けじゃなく、仲間と一緒にいるのが楽しくて部活に打ち込んでいるんだ、、!
わたしのように勝ち負けという結果でしか評価できないクソみたいな大人とは、彼女はまるで違う。勝ち負けには変えられない、かけがえのないものに部活のやりがいを見出しているんだ、、、!!
それなのに俺と来たら、、、、不用意に「勝った!?」なんて聞きやがって。なぜ彼女の気持ちをもうすこし考えて発言できなかったのか?恥ずかしい、、、私という醜い人間が恥ずかしい、、、

今までにないような自己嫌悪に襲われた。けれどもこれはいい機会だ。天使のようなピュアな彼女がくれた、私自身が変わるきっかけなのだろう。むしろありがとうを言わなければ、、、!

うつむいていた顔を上げたとき、彼女は遅刻届を書き終え、教室に向かおうとしていた。

待ってくれ、、!醜さに気づかせてくれたお礼を言わせてくれ、、!

そう思い呼び止めようとした瞬間、天使は振り返りながらひまわりのような笑顔でこう言った。

「吹奏楽部なんでね!!!!!!!!!」


「、、、勉強頑張れよ、、」


そう小声で彼女に聞こえないようにつぶやくのが私の精一杯だった。。

実際に予備校でやっている授業を文字に起こしていきます。 よかったらまたのぞきにきてね☺Youtubeもやってるよ!https://www.youtube.com/watch?v=cOucbWUczWg&t=11s