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桜はまた咲く

きみは私と出会った日を覚えているだろうか。
桜の下。お互い新境地で、とにかくぎこちなかった。
「名前、なんて言うの?」
多分、それが私たちの最初の会話だった。
その出会いがきっかけで、その後15年も一緒にいるとは思わずに。

15年も経つと、お互い変わっていく。
見た目も、体型も、どんどん年老いていく。
それでも変わらないのはきみの眼差しで、私にだけ向けてくれる優しいあの眼差しが好きだった。

時は流れる。
時代は変わる。
それでも、隣にはまだきみがいてくれて。
今年も変わらず桜は咲いている。

ああ、また。
これからもずっと、きみのそばにいれますように。
そんなことを願いながら、私は少し膨らんだ腹部を撫でた。

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