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妻と柔軟剤/箱の中にはみっちりと・・・

半年ほど前、我が家は洗濯機を買い替えました。

新しめのドラム式洗濯機で、賢いことに、液体洗剤と液体柔軟剤を、あらかじめ溜めておくタンクが備え付けられている。

都度都度投入しなくても、洗濯物の量に応じて、最適な量をそこから抽出してくれるわけです。
1日に2、3回回しても、3日に一回くらい補充せずに済む。

便利。

先日、「柔軟剤が切れた」というアラートが表示されたので、タンクに補充しようと思ったが、柔軟剤がどこにもない。

「今度買っておいて」と妻に頼むと、
「前にもらったやつがあるからそれを使って欲しい」という。

見ればそれは、最近流行り?の柔軟剤ビーズで、フリスクくらいの大きさの柔軟剤を、適量洗濯槽に入れるタイプのやつ。

おっけー、と私は返答し、そのときはそのときで終わった。

数日もしくは1週間後。

洗濯物を畳んでいたのですが、どの洗濯物からも、柔軟剤の香りがしない。

自分のものならいざ知らず(やべ、僕ってば体臭きついのかしらと不安になったが)、妻の服からも子どもの服からも、柔軟剤の香りがしないのである。

おかしいなと思いつつ、まぁ次の洗濯機を回すかと、柔軟剤ビーズを探したが、それもない。

いやーな予感がする。

私は、おそーるおそる、洗濯機上部の柔軟剤タンクを開けてみたところ、、、

タンクの中には、みっちりと、柔軟剤ビーズが詰まっていた。

集合体恐怖症だったら、ギャッ!と叫んでしまうような、ぎっちり具合で、タンク目一杯に、薄緑色の柔軟剤ビーズが隙間なく詰められている。

私は集合体恐怖症ではないけれど、それでも、街中でゴキブリを見てしまった時のような、バッドフィーリングに襲われた。

何故か思い出すのは、長瀬智也の姿。
「トッポってすごいよな。最後までチョコたっぷりだもん」

気持ち悪いものを見てしまったときの、自衛本能ってやつだろうか、これが。

それは置いておいて、うちの妻は、柔軟剤タンクをどんな構造だと思ったんだろう。
落とし穴みたいにパカっと空くシステムだと思ったか?

シリアスに切り出す話でもないので、私は努めて和かに、妻に指摘した。

「あのさ、これ、液体タンクだから、ビーズは自動投入されないよ」

妻は、冷たくこう言った。

「あ、そう。で。どしたらいいの?」

どうも、私の温かな微笑みは、妻にはヘラヘラとしたバカにした笑いと伝わってしまったようである。

すかさず返答する。

「いや、いいんだよ、うん。
ビーズは投入されないから、スプーンですくって入れていこう。
いや、全然全然。いつも、洗濯ありがとう!」

というわけで、せっかくの柔軟剤タンクは今や洗面所の端っこに置かれ、そこからスプーンですくって投入しています。

妻は家事全般を憎んでおり、まるでモチベーションがなく(それでもやってくれるのが素敵なところですが)、どうもラーメン二郎の調味料ばりにざっくり多めに入れていくようで、今は逆に柔軟剤の匂いがぷんぷんです。

何が言いたいのかというと、妻よありがとう。ということです。


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