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オモチャの銃を持つ少年/アメリカン・ショートストーリー1

私は、「アメリカン」が好きで、また、憧れています。

この場合の「アメリカン」とは、「アメリカ合衆国」とか「アメリカ人」とは違って(それはそれで好きだけど)、

所謂「THEアメリカンなノリ」というニュアンスです。

小粋な返しこそ尊ばれてるようなアメリカンジョークなんか大好物です。
(例/「今夜はあのイケてない女子とデートかい?」「ああ、お前のお袋とな」的な)

「戦場に派遣された兵士が、内緒で帰還して家族にサプライズする動画」
「店員が露骨な人種差別をしていたときに、居合わせた客はどうするかなドッキリ動画」

などは、定期的に見ています。

たまに泣ける。
あれで涙が出る時、「俺疲れてんのかもな」というメンタルベンチマークにしています。

真実は、私はアメリカ合衆国には人生で10日間くらいしかいたことがないので定かではないのですが、「アメリカン」においては、特に人見知りってのをしないらしい。
見知らぬ間柄でも、隣に座れば平気で挨拶どころか世間話をして、ノリノリにジョークなんかをかます。
小粋なことが行われたら、周辺はその邪魔はしない範囲で見守り、素晴らしい対応には拍手をしたりする。

それが、私が考える「アメリカン」である。
心の「アメリカン」を灯しながら生きていきたい、そう願っています。

先日、モールに子どもと散歩をしに行った時。

おもちゃ屋のフリースペースで適当に子どもを遊ばせていると、私のそばに可愛い外国人の男の子が現れた。

5歳くらいだろうか。
お目目はくりくり、髪色は薄い茶色、肌は褐色寄り。

彼は、そのへんにあったオモチャの銃(引き金をひくと先端が光る、電子銃のようなもの)で遊んでいる。

私の視線に気づいたのか、彼は私をみてニッコリと笑うと、手に持っているオモチャ銃を私に向けた。

刹那、直感した。
これは、私の「アメリカン」を発動させる好機である・・・!

彼が気さくに絡んできているのに、私がスカした態度をとるわけにはいかない。
アメリカン第一条「人見知りはしない」。

彼が引き金をひいて銃の先端がピカピカと光ると、私はしかめっ面(&泣き顔を小さじ一杯)を作って両手を上にあげ、

「ど、どんとしゅーとみー」

と一芝居うった。

微笑む少年。

パーフェクトなコミュニケーション。GODな対応だ・・・。
どこぞにいる彼の両親も、「ジャパニーズもなかなかやるじゃない」とお喜びなんじゃないか。

なんつーことを考えていたら。

私の視界の外から、彼の母親を思わしき女性が現れるや否や(アズスーンアズ)、オモチャ銃は取り上げられ、お母さんはすごい形相となかなかの声量で、
「NO!!!」
と少年を一喝し、頭を引っ叩いた。
「二度とやるな!」みたいなことで少年をさらに叱りつけると、母親は彼の手を引き、お父さんらしき男性のもとへ連行。

なんとなく脇目でその姿を眺めていると、声は聞こえなかったものの、彼はお父さんにも叱られていた風だった。

両親に叱られ、半べその少年を眺めながら、私は、

ハハーン、なんか・・・やらかしたな。

と思った。

良かれと思って芝居をしたが、確かに外国のエリアによっては、銃を人に向けるなんて縁起でもないというか、絶対に忌避するべきであると、子どもにも叩き込まないといけないのだろう。

父親が所謂「白人」的なルックスで、お母さんがインド系と思わしき両親だったので、その人種カップリングから推測すると、彼らはアメリカ人。
余計にセンシティブなのかもしれない。

少々申し訳なかったので、謝罪の意を眼差しでも伝えようとしたが、アメリカ人両親は私の方を見てもくれなかった。
まぁ、というかオモチャ銃にノッてしまったのは私だし、てことは少年が怒られてるのは私のせいだ。
じゃ本場の「アメリカン」なら、オモチャ銃を向けられた瞬間に、「撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだ。」とか言って諭すんだろうか。

アメリカンへの道のりは険しい。

シーユー・ネクスト・アメリカンショートストーリー。バイバイ。

追伸
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