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指先に乗る風景画を手にいれた話



純粋な娯楽としての外出がやや躊躇われる昨今の世の中ですが、どうしても実物を見たくって、某百貨店へ出掛けました。

お目当てはFillyjonk(フィリフヨンカ)の天然石ジュエリー。
ムーミンに同名のキャラクターが出てきた覚えがあるけれど、そこから取ったのかな。

いろいろと見て迷った挙げ句、指輪を二つ購入しました。

ひとつは乳白色のぽってりとした石に、まっくろくろすけのような黒い核。その周りに薄いグレーのぼかしが入る。

木立のようにも、たんぽぽの綿毛が種を飛ばしているようにも見えて、なんとも愛らしい。

もうひとつはお店のインスタグラムにも載っていて、大本命だった石。

三角形の透明の地にぱっきりしたオレンジが流れ、そこから枝のようなインクルージョンが延びていて、秋の森を描いた印象派の風景画を思わせます。

ふたつとも「moss ring」というシリーズのもので、名前の通り台座の一部には有機的な装飾が入り、アームはあくまで細く繊細で、まるで苔むした石をそのまま指に乗せているよう。

透明感のある色味のおかげで、着けているときと外したときで微妙に石の表情が変わり、見飽きません。

ファインジュエリー(特にダイヤモンド)では宝石の透明度と内包物の少なさが重視されるイメージだけれど、遮るもののない透き通った輝きを尊ぶのも、石の中に溶かしこまれた風景を愛でるのも、自然界の不思議な造形に惹かれるという意味では同じことなのだな。

ところで今回の購入先であるお店。置いてあるものは勿論店員さんもとても素敵でした。

こちらが「これいいなぁ」とひとつを手に取ると、「それがお好きならこれも!あとこれもすごく可愛くて!」と、無限に石が出てきました。ほかにもインクルージョンとして入っている鉱物の名前を教えてくれたり、作家さんご本人がひとつひとつの石につけたコメントを教えてくれたり。

私が店員なら、ひとつ気に入ってそうなものが出ればそれを焦点にクロージングを掛けると思うのですが、そうではなく、素敵なものがこんなにあるので知ってほしい!という、作品への愛をバチバチに感じる接客でした。

箱もいっぱい種類があるのを全種類出してくれて時間かけて選ばせてくれて……なんだこのかわいいラッピング……

石と箱の模様のコーディネートを考えながら選ぶのめっちゃ楽しかったです。

しがない会社員なので頻繁な買い物はできないけれど、また愛溢れる接客と素敵な石との出会いを目当てに、労働に精を出そうと思ったのでした。


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