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「逆張り」て

 いつも私の趣味嗜好は周りの人間に「逆張り」と言われることが多い。それについての弁解もしつつ、逆張りサイドとして逆張りの心理と暫定的な自分の見解を示しておきたいので今この記事を書いている。

 そもそも。逆張りとは何なのか。言葉の意味は響きでわかっていても、そのフレーズを耳にするようになったのはつい最近のことである。ネットで調べてみるとだいたい三年前ぐらいから使われるようになった言葉らしい。
 ちょっとした認識のゆれはあれど、「世間の一般論とは違う意見を言いたがる人」という意味で捉えて問題がなさそうだ。私が逆張りと言われるのはおそらく、私の「流行っている漫画やアニメを見たがらないことが多い」という点を、「あえて世間の潮流に逆らっている」と判断しているからだろう。

 ここでひとつ言っておきたいことがある。私は決して世間の流れに対して意図的に反逆を起こしているわけではないということだ。
 逆張り一派も一枚岩ではないから、私が逆張りを代表して言えるわけではないが、少なくとも私においてはあくまでも結果として逆張りになっているだけである。また、私と同じような心境で逆張っている人は多いと思う。

 コンテンツへの向き合い方について、私は能動的なほうだと自負している。だから私が好きなコンテンツは基本的には人から勧められたものではなく、自分の手で見つけたものだ(とはいえもちろん自分の手で探すのにも限界はあるからどこかで広告に頼ったりだとか、そういう線引きは当然ある)。つまり私のオタク道は冒険発見なのだ。

 他者から与えられたものより、「未知」から自分の手でつかみ取ったものの方が自分の中での価値が高くなるのは当然のことではないだろうか。発見の付加価値は想像以上にモノに色をつける。カラオケでつい歌ってしまうアルバム曲も、好きなゲームとして挙げるスーファミのゲームも、全ては私的な価値が高い=思い入れが強いから取り上げるのだ。そこには「他」に支えを置かない、強い「自」があり、一本通した筋がある。「社会現象だし観ておかないと……」みたいな人を見ていると、「『他』に『自』を置きすぎていやしないか?作品そのものを見ていなくないか?」そんな悶々とした気持ちが胸に渦巻いてしまう。

社会現象

 しかしそんな私にとって、最近世間で一気に流行り始めたコンテンツというのはあまりに向こうから迫ってくる「未知」のもので、こちらに受動的な好意を強いてくる。こちらとしては自分から会いに行く事ができれば最も良い出会い方だったのに、「大人気の」とか「即重版!」なんて枕詞を引っ提げて向かって来られるとこちらの冒険心がどうしても削がれるではないか。そしてなにより、自分の預かり知れぬところで勝手に膨れ上がった大人気コンテンツという存在は、怖い怖すぎる

 だからもし「こいつ逆張ってんな~」という人に出会ったときは、「ああ、こいつも怖いんだな」と思って温かい目で見てやってほしい。それに逆張りもTPOをわきまえられない人ばかりではない。私だってそんなに親しくない人と行くカラオケならアルバム曲ばかり歌わない。自己紹介で好きなゲームを聞かれたら「カービィ」って答える。そして逆張って来たときには、貴重な別の立場の意見として議論してほしい。ていうか本音を言えばもう逆張りって言葉やめてほしい。普通に傷つく。


 逆張りオタクは真に自分にとって価値があるものを探す冒険者、求道者、開拓者です。私は狭量な冒険者を生かすのも、殺すのも。全ては周りの人間次第だと思っています。おたがい優しくしましょう。


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