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米国の分断がいかに深刻であるかを日本にいながらにして痛感させられたひと言

米国、いや世界にとって悪夢の4年間が終わり、米国の大統領が交代する。

この4年間でトランプ大統領の言うことこそが真実であると信じる人と、そうでない人との間の分断は果てしなく深くなった。融和を唱え、分断の修復を目指すバイデン次期大統領に対する期待は大きいが、単なる政治的立場や主張の違い、リベラルか保守か、民主党か共和党かといったレベルでは済まない、米国民の間に残された決定的な「分断」は、もはや亀裂というようなものですらなく、お互いの考え方のみならず、お互いが信じる事実さえも、フェイクとして否定し、まるでグランドキャニオンのこちら側と向こう側で互いを罵り合うかのような、歩み寄りなどできるわけがないと思えるレベルに至ってしまっている。

大統領が変わったからといっても、この分断がそう簡単に修復されるわけはないが、そのことを日本にいながらにして、ふとしてことから実感させられることになろうとは思っていなかった。

自分は、あるグループ、というかサークルに所属している。趣味の集まりだ。そこの仲間とはかれこれ十年来の付き合いになる。指導的な役割のAさんは、自分とそれほど年は変わらないが、その高い技術と指導に自分は敬服し、信頼してついてきた。たしかに人間的にはちょっとどうかなと思うような言動もこれまでにないわけではなかったものの、それはこのサークルの活動や、目指す目標を達成するために果たすAさんの役割を思えば、直接は関係しないし、別に無視できないようなものでもなかった。

ところがである。

とあるSNSに、そのAさんの書き込みを見つけた。

それは「議事堂襲撃は仕組まれたものだ。バイデンは怖い人物だ」という趣旨の短いものだった。

自分は激しく動揺した。

最近もAさんは「コロナは別に怖がるようなものではない」といった書き込みをしていて、あれれ? と思ったものだったが、今回の発言は本当に意外だった。

おそらく日本に住んでいると思われる日本人の中にも、トランプの熱烈な支持者がいて、ネット上に主張を展開していることは知っていた。ただ、自分がこれまで信じて、尊敬してきた人が、そうした主張をする人だとは思っても見なかった。

コロナで活動を休止しているサークルではあるが、この先、この人の指導を受けながら、一緒にやっていけるのか? いっそサークルを退めるべきではないのか。いま真剣にそう思い始めている。

その一方で、彼の信条や主張は、サークルの活動そのものには直接の関係がないのに、そういう理由で十年来続いてきたサークルから離れることは果たして正しいことなのかとも思う。

政治的な主義主張の隔たりというレベルの話であれば、趣味やサークルの活動とは関係ないからと割り切ることもできるのだ。でも、米国でのトランプ支持者とそれ以外の人たちの隔たりは、そんなレベルの話ではなく、議論はおろか、互いの人間性すら認められないレベルにまで達しているのではないか。

いま自分が抱いているこの葛藤はまさにそういうことなのではないか。自分はAさんの人間性を受け入れられないと思い始めている。そのこと自体、正しい姿勢と言えるのか。

そう思えば思うほど、米国の人たちが、互いの主張の違いはそれとして、ビール片手にざっくばらんに政治の話ができる、パーティで集まった友人同士で、互いをリスペクトしながら、人間性を認め合いながら政治的な議論を戦わせることができる、そんな日が果たしてこの先くるのだろうかと暗澹たる気持ちになる。四年かかっても、八年かかっても、そこにはほど遠いのではないだろうか。

それでも米国の人たちが将来に希望をもてる日が来るように、なんとかバイデンさんにはがんばってほしい。そう強く願わずにはいられない。

自分のことはもう少しじっくり考えてから決めることにする。

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