なんか記憶に残ってる話⑤"ちょけてて手が友達の目に入って変な感じなる"の最上級のヤツの話

舞台で話すほどではないけどなんか記憶に残ってる話を書くやつ第5弾。
子供がちょけてておおごとなっちゃったの1番デカいやつ。

小学生の頃通ってた英語教室での話。
起こった出来事はハッキリ覚えているのだが、その英語教室の業態についての記憶が曖昧であまり自信がない。

その英語教室はA君のお母さんが先生でA君の自宅で行なわれていた。
月謝的なものは渡してたとは思うのでちゃんと教室ではあったと思うのだが資格とか持ってはったのか不明。
内輪でやってるインディーズの英語教室だった可能性もある。
クラスも7.8人のクラスが2つだけで A君とその同級生である僕ら A君の妹とその同級生 の2クラスだけ(だった気がする)。
外部の生徒の受け入れは友達の友達まで くらいのノリ(だった気がする)。

だから空気は非常にゆるめで僕も友達の家に週に1度遊びにいってついでに英語習ってるくらいの感覚だった。

そのゆるさから事件は起こった。
A君が鉛筆を部屋に忘れた。
取ってこようとしたのだが数席離れたB君が一言
「俺のロケット鉛筆貸したろか〜?」
世代で知らない人もいるだろうか?ロケット鉛筆とはこういった筆記具でカートリッジをペン先から取り出しおしりの方から差し込むと尖った新しい芯が出てくるというものだ。

キャップはもちろん着いていなかった。


B君の優しい一言に呼応するA君。
「ヘイ!パス!」
先生であるA君のお母さんが制止する間もなくそのカラフルなダーツは空を切って2メートル程離れたA君の元へ。
これだけでもだいぶ愚かな行為だ。
しかしこんなもんで留まらないのが低学年男子の愚かさ。
なんと間に座っていたC君が手を出しブロックの構え。
A君への貸出をインターセプトするというイタズラだ。
キャッチして「ウェーイ!」と言うつもりだったに違いない。
しかし実際に出た音は

「ア゛ア゛ァァァア゛ア゛!!!!!!」


ロケット鉛筆はC君の親指と人差し指の間の水かきの部分を完全に貫通していた。
C君は身悶え地面に突っ伏し、他の生徒は阿鼻叫喚。
結構濃いめの血も出ていた。
今思うともちろん死にゃぁせんしちょっと跡残るくらいやろうけど、人体を何かが貫通するというものを初めて見た僕はその景色が忘れられない。

さてここからが難しかった。
"怪我の責任は誰にあるか"である。
母であり先生であるA君の母はとりあえず「ヘイ!パス!」宣言の息子をひどく怒った。
しかしA君は号泣しながらもこれに納得いかず。
そりゃそうだ。C君の勝手なインターセプトだ。最年少最新型の当たり屋だ。お母さんに言い返す。
A君「勝手に刺さってきたし!」
A君の母「そうやけどそもそも投げることがダメでしょ!」
A君「じゃあBも怒られなおかしいやん!投げたのBやん!」
これに堪らずB君参戦。
B君「はぁやし!Aがヘイ!パス!って言うたし!」
A君「でもBが投げたもん!」
A君の母「どっちも悪い!!!!C君も悪い!!でも1番Aが悪い!!」
非常に難しい裁判だったと思う。
自分の子供とその友達で回してる英語教室でその場唯一の大人である。一旦息子を1番重い罪に問うたがそれは逆にバイアスがかかっているのは子供の僕から見ても明らかだった。
A君からしたらかなりの理不尽だっただろう。更に強く泣いた。
見てられへん。
しかしA君の母の気持ちも分かる。
C君のお母さんが声高に監督責任を叫び出したら終わりだ。

その後C君のお母さんへどういった説明がなされたか分からないがたぶん全然「うちの子が悪いですわ!」の感じだったと思う。
しかしA君とB君はこれキッカケで変な感じになりB君は英語教室を辞め、B君と仲良かった他の生徒も1人抜け、それが気まずくてC君も辞め、僕もなんとなく楽しくなくなり辞めた。
僕のクラスは人数不足で終了。
もう1つのクラスだけでは経費が賄えなかったのか(大人になった今の僕の予想でしかないが)教室自体終了。
たった1本のロケット鉛筆の砲撃でひとつの英語教室が跡形もなく消し飛んだのであった。

"ちょけてて手が友達の目に入って変な感じなる"の最上級のヤツの話。

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