本の感想:『質問力』で質問することを考える

授業が終わり質疑応答に入ると、いたたまれない空気が流れる。先生は「理解したということで終わらせるぞ」といったとしても、素直に「はい、理解しました」といえるわけがない。

勇気をだして質問してみても、うまく言葉が出ない。わからないことだらけなはずなのだから、質問したいことは山ほどあるのではないのか…

わからないからではなくて、考えることをやめたから質問がでてこないのだ。

本を開けば、スマホで記事をひらけば、文章は頭の中でBGMとして流れていく。目で文章を追って、頭で再生させて…

しかし著者の文章を受け止めて「そうだな」とうなづくだけで満足できるだろうか。その本で感動したことを友人に話したとしても、それは著者の言葉であり、著者の経験をそのまま伝えてるにすぎない。それでは「君はどう思う」と反対に聞かれたら、口を閉ざしてしまうだろう。

授業中、手を上げられずに、しどろもどろになっている。偶然、当てられて席を立って、ただわからない単語をデタラメにつなぎ合わせる。全くよくわからない質問で、先生は呆れて肩をすくめてしまう。先生から苦い顔をされて「もういい」と溜息をつかれる。

質問できる状態というのは、すでに頭にイメージがわいている。

自分がこう質問したら、先生はこう返答してくるのではないか…と頭に思い浮かべる。やっと「いい質問」ができるようになる。まるでテレビやラジオのストーリーを担う放送作家のようである。質問ができる人は、話を聞きながら脚本を描いている。あらかじめ準備したものではなく、即興で作り出せるものならば高度な技術といわざる得ない。

改めて「質問」を「スキル」としてみなすことを覚えた。

それ以外に本書では、自分自身を問い続けることも書かれている。なので早速、自分に質問をしてみる。これは本当に自分のやりたいことなのだろうか…徹底的に自分を問い詰めてみると、あんまりやりたいことでもなかったけど、みんながいいっていうから…など自分の覚悟の軽さが暴かれていく。

本書は各章にわたって、いい質問と悪い質問の具体例ものっている。ビジネス書として読んでも面白い。ぜひ質問のできる人になりたいものだ。




この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?