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色彩の教科書(30)紫の事件、エピソード

高い地位をあらわした紫色

日本で始めて制定された冠位制度「冠位十二階」では、6つの色(それぞれ大小に分かれる)で身分を12に分けている。その最高位は、紫色の大徳、小徳という地位。当時、紫の染料は非常に貴重なもので、一説には1gの染料を採るのに2000個の貝が必要だったとも言われ、布地一枚を紫色に染めるために、数万個の貝を丁寧に加工する必要があった。そのため、最高の地位を表す色として使われていたのだ。

お殿様が病気のとき、紫色のハチマキをしている理由

よく時代劇の中で、病気になったお殿様が白い着物に紫色のハチマキをしている姿を目にする。これ実は、お殿様が高い身分であるため、というだけのものではない。病人専用に考えられたもので、解熱、解毒の生薬としての薬効がある紫草(ムラサキ科ムラサキ属の多年草)の根で染めたハチマキを額に巻くことで病状を和らげるために使われていた。
また打ち身などをすると肌が紫色に変化する。実はこれには理由がある。肌が紫色になることで、太陽光線の中から打ち身の治癒に有効な光だけを効果的に内側に送り込む仕事をしているのだ。そう考えると、紫のハチマキも、薬の効き目の方は少々疑問だが、まんざら効果がないとはいいきれない。


冠位十二階


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