色彩の教科書(32)グレーの事件、エピソード
奢侈禁止令が生んだ多彩なグレー
江戸時代、贅沢を禁じた奢侈禁止令では、派手な色を庶民が使うことも禁止した。そんな中で使うことが許されたのが、グレー(ねずみ色)と茶色。そのため、四十八茶百ねず(しじゅうはっちゃひゃくねず)といわれるほど沢山の茶色やねずみ色が誕生し、微妙なニュアンスの違いを楽しむ独特の庶民文化が現れた。
利休鼠(りきゅうねず)はおもてなし・謝罪の色
この時代の中でもっとも有名なねずみ色の一つ。利休には直接関係なく、その緑がかったねずみ色の地味で控えめな色彩が「侘びた色」として侘茶を大成させた利休を連想したためつけられた名前。グレーと緑を配合させたその色合いは、微妙な美しさを表現するとともに、相手を穏やかな気持ちにさせる効果もある。
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