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#障害のある人生

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私の、障害者としての側面を描いた作品をまとめました。詩と短歌、小説があります。
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記事一覧

【詩】青空

青空は、いつだって美しいから この世は残酷だ その下を歩く者たちすべてに 青空はいつだって…

【詩】分岐点

土曜日の帰り道 小学校の前の下り坂 車椅子を押している手が わざと離され やめて! 危ない!…

【詩】拍手

卒業生は、ひとりひとり名前を呼ばれ アイザワショウゴくん はい! エンドウアキラくん はい…

【詩】愉快な世界

ここは、とても愉快な世界です 障害を負わされた人のためのグループホームを作ろうとすれば …

【詩】恐れ

母の手に刻まれた皺が恐ろしくて 私はそれを直視できない 母が生きてきた証である皺よ 母が家…

【短歌八首】車椅子の風景その4

有人のレジで感じぬ障害を突き付けてくるセルフレジかな 自販機も顔認証の時代となチェアウォ…

【短歌五首】車椅子の風景その3

エレベーター何基あっても一基しか車椅子用ボタンで呼べない エレベーター何基あっても一基しか中に車椅子用ボタンがない 入れてもベビーシートに阻まれて鍵が掛けれぬ”みんなのトイレ” 我が町の商店街に車椅子で入れる店は数えるほどで チェアウォーカー独りで街を歩くこと想定されてない”バリアフリー”   もはや短歌というよりただの愚痴になってしまいましたが……。 ◆第一首 例えば見出し画像のようにエレベーターが3基あるとして、車椅子ユーザーが押せるボタンでは左のエレベーター

【詩】善人

善人は、今日も善人なので 手に障害のある人間が 書類に住所氏名を書いただけで 「ちゃんと字…

【詩】身体論、あるいはヘレンの水

この足で 土を、地面を、大地を 踏みしめたことがない この足で アスファルトを蹴って 体が前…

【詩】匿名希望

雑踏に、埋没していたい 独りきりで気ままに歩ける道 そこでは 二足歩行者と 車椅子ユーザー…

【詩】花のベッドは、いらない

「強いね」と言った人は 強くなければ生きてこられなかったことを知らない 「強くならなきゃ…

【詩】if その2

もしも、この身体でなかったら 何度だって大声で非難できただろう もしも、この身体でなかっ…

【短歌十六首】reasonable accommodation

世の中の障害は障害者に害ぞ「障がい者」でなく「障害者」と書け 嘘数多ついてはきたが障害者…

【ショートショート】子どもの頃の夢

「子どもの頃の夢って、何だった?」と、夫がタブレットから顔をあげて訊いた。ニュース動画で、小学生の夢ランキングなるものが紹介されていたようだ。  私は、ソファーに投げ出した足をマッサージしていた。一日じゅう車椅子に座っていると足の血行が悪くなるし、むくみもする。だから、車椅子に座ったまま足だけをソファーに乗せ、ストレッチやマッサージをする。たいていは、夕食と後片付けが終わったこの時間に。そして、たいていは、私の足のとなりに夫が座っている。結婚するときふたりで見つけた、オリーブ