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女子プロレスラー木村花さんの誹謗中傷事件について思うこと

新しくできたつけ麺屋で、石焼き濃厚えび味噌つけ麺を注文。待っているとテレビからニュースが聞こえてくる。

昨年5月に、ネットの誹謗中傷を苦にして亡くなられた女子プロレスラー木村花さんの話だ。あれからもうすぐ1年経つ。今思い出しても心苦しくなる、悲しい事件だ。

ニュースでは、実際に中傷した投稿者が書類送検されたとのこと。容疑に対して「誹謗中傷が多く投稿されてるのを見て自分も投稿した、申し訳なかった」と述べてるらしい。

ニュースを聞きながら思う。そんな理由か、と。ただ、なんとなくSNSの潮目に乗っかっただけ。ご遺族の方の気持ちを思うといたたまれなくなる。

こんなもんなんです。ネットで誹謗中傷をする人の心理なんてのは。みんながやってるから、自分もやる。そんなもん。

ニュースを聞いてると、無性にやりきれない気持ちが沸いてきたので、せめて自分の声の届く範囲にだけでも伝わるように書いておきたい。

ぼくが伝えたいのは、いじめや誹謗中傷に対して「やめて」と言ってる人に「このくらい我慢しろよ、カッコ悪い」という空気を作るなということ。それだけだ。

ぼく自身も、YouTubeやSNSで発信を生業とする身だ。実際に、ここまで酷くないにしても「消えろ」とか「嫌い」とか言われることはある。

これに対し反論すると、おもしろい…というのは不謹慎にうつるかもしれないが、興味深い現象が起きる。

反論した投稿に「いいね」がたくさん付くと、中傷投稿を消すのだ。

潮目に乗って叩いたつもりが、あれ?どうやら分が悪そうだぞ?と思うと、すぐ消す。

「誹謗中傷が多く投稿されるのを見て自分も投稿した」というように、ただ多数派についてるだけなんです。安全なところから石を投げてるだけ。少数派になってでも伝えたい誇りとか信念とか、そーゆーものはないんです。もちろん、言われてる本人に落ち度などあるわけがない。

勘違いしてほしくないのは、別に全員に好かれようとか、人を嫌うなとかそーゆーことを言ってるんじゃない。人をどう思おうとそれは自由。

ただ、その攻撃的な感情を直接ネットを使って本人にぶつけるなって言ってるんです。メディアで「この人、合わないな…」と思ったら、受け手にできるのは関わらないこと。もしくは、その理由に伝えたい論があるなら、自分のタイムラインやブログでやればいい。世の中に作品を発信してるのであれば、評価される立場にあるのはわかる。

ただ、嫌いだとか消えろとか、そんなブログ書いても虚しいだけでしょう。内容などないのは本人が1番わかってるはず。だから手軽に直接本人にぶつけるんだろうけど、それは程度がどうあれ許されないよって言ってるんです。

だから僕は、過剰反応と言われても早めに「些細なこと」でも反論する。

「そのくらいで…」

という声も出てくるけど、実際の話、1発でめちゃくちゃダメージあるひと言なんてない。

「このくらい…」という些細なことが積もり積もって、「こいつには言ってもいい」という空気ができた時、恐ろしい結果を産んでしまうのだ。

擁護する人も分が悪くなると擁護できなくなるのがこの国の空気だ。誰だって子供の頃、いじめられっ子を庇うと次は自分が標的になるって空気を感じたことはあるでしょう。空気ができてからじゃ遅いんです。

それだけに3月のライオンでひなちゃんがいじめられた友達をかばって自分が標的にされた話はすばらしいです。読むべき。

多くの人は勘違いしている。誹謗中傷というのは、誰が見ても「これはひどいよな、反論してもしかたない」という内容だけでできてるわけではない。

量なんです。ひとつひとつはスルーできるような内容でも、量が空気を作ると悲しい結末になる。

自由な感想というけど、わざわざ本人に通知が届くように"リプで直接"嫌いとか、故人を侮辱するようなことを言うのが感想なのか?

ここにも書かれてる通り、直接リプライと自分の場で自分の考えを言うことは天と地ほど違う。

これに対し、ブロックすべきではないとか言ってる人は善意だろうと悪質。自分が受けたことないから想像できないだけ。

「さらすな」とかいうリプがついてるのも信じられない。リプライを送るなら、相手にどう対応されても相手に権利があるということはせめて受け入れよう。相手に意見を伝えるとはそういうことです。

ぶっちゃけ、今の段階でぼくに届く「嫌いです」という言葉にそれほどのダメージはない。スルーしろと言われると全然できるレベル。

けど、これが毎日10件、100件となってきて、数が増えてきたらどうだろう。

今では「応援してます!」と言ってくれる人もいるけど、数が空気を作ってしまうと、その人たちも声をあげにくくなる。そして誹謗中傷だけが残り、世の中の全てから拒絶されてるような気持ちになる時が来たらと思うと恐ろしい。

それが止めれるのは「大したことない時」なんじゃないかと思う。あ、こいつ殴ったらまずいなって意思をハッキリと示しておく必要がある。

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3月のライオン5巻より引用
念のために言っておくが、これは間違っても「言えないのが悪い」ということではない

というか、そもそも物理的だろうと言葉だろうと、人を殴っていいわけないだろ。

今日もネットで誹謗中傷する人間は「こいつなら殴っても自分の分は悪くならない」人を探してる。

それでもあなたは「このくらいスルーしろ」って言いますか?善意で言ってるのはわかる。だからこそタチが悪いということをそろそろ自覚したほうがいい。

勇気を出して声をあげた人や、攻撃を受けてる人が「自分が悪いのかな」と思ってしまう空気を作るな。

木村花さんのご冥福を心より祈ります。

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