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ハズレの小説 アタリのエッセイ

この世にはハズレの映画が沢山ある。ハズレの小説もしかり。だからこそ、読み手や観客側を一切飽きさせない作品は、「名作」として世に残る。

一方、最近、短編映画や短編小説、エッセイなどの、短めの作品にはアタリが多いことに気がついた。どうやら、短けれは短いほど、面白さだけを詰め込むことが出来るらしい。プロでは無い人達でも趣味で作品を作ることが出来る、間口の広い世界のようだ。

名作とされる小説や映画を創れる人はほとんど居ない。一方、短い映画や短編小説、エッセイを創っている人は沢山いる。色々な作品を見る中で、世の中にはこんなにも面白い、無名の人たちが沢山いるのか、と心底驚いた。


満員電車で人が沢山いるのに、皆押し黙っていて不気味な車内や、誰かが道で具合を悪そうにしてても皆揃って無視していくような群衆の中に、鋭い感性で生きている人達が紛れているのだと思うと、なんだか救われる気がした。
無機質に見える世の中にも、ちゃんと血の気は通っているように思えたから。

そりゃあ、天才たちと比べると才能の差はあるけれど、考えすぎる感性をもっている人はそこらじゅうにいるのだ。

その他大勢とされる、普段誰にも取り上げられない私みたいな普通の人間たちだって、人生の葛藤や苦悩の中で、どうにかこうにか、理不尽な日常と折り合いをつけながら、生きてるんだな、と思える。なんだか、世の中が少し面白く見えてくる気がした。

著名な作家や映画監督が生きていくことの真理を語るよりも、普通の人が、それよりも拙い言葉で何かを語る方が、心をうつことがあるのだろう。

短編作品、舐めてたけど、舐めちゃダメだな。沢山見よう。

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