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海外ドラマ「サンディトン」ジェイン・オースティンの未完小説をドラマ化

原題 Sanditon
製作 BBC
製作年 2019
原作 ジェイン・オースティン
キャスト ローズ・ウィリアムズ、テオ・ジェームズ、アン・リード、クリス・マーシャル他
評価(10段階): ★★★★★★★☆☆☆

あらすじ
19世紀初頭、イギリス南部の街サンディトンのリゾート開発を手がけるトム・パーカー。トムの家に滞在することになったシャーロットはそこで様々な経験をしてゆく。

ジェイン・オースティンの未完小説のドラマ化。
田舎町が舞台で結婚が目下の一番の課題というようなジェイン・オースティンの他の作品(傲慢と偏見やエマなど)とは趣の大きく異なった作品。

タイトルは家族がつけたものでオースティン本人はThe Brothersというタイトルを考えていたよう。
未完の原作については以下とても参考になり興味深い。

「サンディトン」の可能性 川口能久

(以下、ネタバレ含む。)

シャーロットとシドニーの恋愛模様を前に押し出しつつの展開はオースティンの他の作品に倣ってだろうと思う。
最後のところでシャーロットと上手くいかないのはこの作品の持つ風刺的な要素を生かしたためではないだろうか。サンディトン計画は結局上手くいくはずのないものであり、兄の計画に肩入れするシドニーも結局そこから抜け出せないのだ。

パーカー兄弟はそれぞれにどうしようもない部分があるように感じた。
アーサーは自分は病弱だと思い込み、気分の変化も激しい。
トムはサンディトン計画に熱中。その計画も出資者のデナム夫人に見捨てられたら終わり。その他の資金集めと人集めは弟のシドニー頼み。軌道に乗ったと思ってもトラブルが起こるのは、計画の詰めの甘さもある。
シドニーは傲慢と偏見のダーシーに似たキャラクターなのだがどっちつかずのところが目立つ。兄を助けたいのか、放っておいて自分は自分で生きていきたいのか、はっきりしない。最後、兄、というよりパーカー一族を救うために結婚を決めても覚悟が決まらない。婚約の決まったチャンピオン夫人を愛していないといいながら、シャーロットを引き止めることもできない。
この結末だと続編を望むレビューが多いのも分かる。

上記の「サンディトン」の可能性によれば原作ではヒロインすらはっきりしないという。ドラマではシャーロットをヒロインとしていたようだが、エスターをヒロインにする方向で話を膨らませても良かったのではないかと思う。エドワードはオースティン作品の主人公を一瞬惑わす色男の系譜にあるし、バビントン卿の一途なところは主役っぽい。

ミス・ラムも中途半端で終わってしまった。シャーロットと友人になったところまでは良かったと思うのだが、その先あまり役割がなく残念。せめて最後の見送りには来ても良かったと思う。

気になる点は色々とあったが、最後まで結末がどうなるか気になって観てしまったし、意欲作として評価したい。

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