海外ドラマ「ライフ 私たちの生きる道」マンチェスターの集合住宅を舞台にした群像劇
原題 Liife
製作 BBC
製作年 2020
キャスト アリソン・ステッドマン、エイドリアン・レスター、ヴィクトリア・ハミルトン、メリッサ・ジョンズ他
評価(10段階): ★★★★★★★★☆☆
主な登場人物は4人。
70歳を迎えるゲイル。学生時代の友人の言葉をきっかけに今までの結婚生活に疑問を感じ始める。そんな中で夫が余命半年ほどだと聞かされ、人生の選択を迫られる。
大学で英文学を教えるデイヴィッド。妻を亡くし立ち直れない中、それまで知らなかった妻の本当の姿を知りたいという思いに動かされてゆく。
同じアパートに住むベル。妹がパーソナリティ障害と診断され、妹の娘の面倒を見ることに。自身もアルコール依存症気味。
ハンナは出産間近。生まれてくる娘の父親に惹かれつつも、頼りがいのある男性との結婚を決めるが心は揺れ動く。
(以下ネタバレ含む)
ゲイルの置かれた状況は見ている方も心が痛くなる。
夫は本当に無意識に妻をバカにして笑ってきたのかもしれない。ジョークのつもりかもしれないが人前で妻を下げるような発言をしたり、言葉を遮ったりというのはよくある話のように思う。それをされている妻の側は気づいていないのか、それとも気づかないふりをしてきたのか。
学生時代の友人との再会をきっかけに外交的だった昔の自分を思い出し、もう気づかなかったふりをして同じ生活は出来ないと考え始める。
そんな中での夫の余命宣告に加えて、過去の浮気の告白。この告白は身勝手で、どうせなら墓場まで持っていってほしいと見ていて思った。
デイヴィッドの台詞にもあったが、人は死というものを考えたくない。それに、本当に大切な人を失った人にはかける言葉も見つからなくて、腫れ物に触るように接してしまったり距離を置いたりしてしまう。
ベルも自分が壊れてはダメだと必死で生きてきた。
妹の娘のマヤは自分はまだ子供で、どんな時でも自分を第一に考えて欲しいとベルにいった。そんな存在を求めているのはベルも同じ。
ハンナには片手がなく、育児をこの先していく上で社会福祉が不可欠。
社会福祉の手続きに一緒に行った時、自分にとっていかに支援が必要かまくしたてたハンナを援護しないリアムの態度に引っ掛かり、一旦距離を置く。
稼ぎもあり、違う男との子供を育ててくれるというリアムと結婚する以外に選択肢はないと思いつつ、アンディに気持ちが靡く。そのアンディの人柄が良くて、不安定ではあるものの仕事はしているというのがまた悩ましい。
同じアパートに住みながら、ほとんど接点のなかったそんな4人だが、少しだが接点が生まれていく。
最後のシーン。人生の最期を、こういう様々な人の暮らしの感じられる場所で過ごすのもちょっといいなと思ってしまった。
自分と立場や状況が似た登場人物がいるわけではない。でもそれぞれの抱える問題に共感できるところがある。
さりげなく描かれているがマヤはレズビアンだし、ゲイルの息子は同性のパートナーがいる。
これが多様性というものなのかもしれないと思った。