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海外ドラマ「ヤング・ポープ 美しき異端児」若く美しいアメリカ人ローマ教皇を演じるのはジュード・ロウ

原題 The Young Pope
製作 HBO、channel+
製作年 2016
原作/脚本 パオロ・ソレンティーノ
キャスト ジュード・ロウ、ダイアン・キートン、シルヴィオ・オルランド他
評価(10段階): ★★★★★☆☆☆☆☆

テーマが馴染みのないものなので、難しい。
とにかく、ジュード・ロウ演じるピウス13世が美しい。はかなくて何をしでかすか分からない不安定な教皇にぴったり。

物語はジュード・ロウ演じる若きアメリカ人のレニーが教皇に選ばれるところから始まる。その裏にはヴォイエッロら枢機卿たちの思惑があった。レニーなが好き操り人形となってリベラルと保守派の間を埋める役割を果たしてくれるのではないかと期待していたのだ。しかし、ピウス13世となったレニーは好戦的で、枢機卿たちも驚くほど急進的であることが次第に明らかになる。
演説含め言動が急進的で、見ていてびっくりする。ピウス13世は、教会は寛容で普遍的になりすぎたとしてこれからは妥協せず、撤退する方針を示す。
顔を見せず行った就任演説でも信者を驚かせる(というより絶望に追いやるに近い)。演説では信者が神を忘れたことを責める(“You have forgotten God.” )ことからはじまり、彼らに寄り添おうとしない姿勢を見せる(”You need to know that I will never close to you.”)。更には自分はあたたたちにはもったいないくらいだ(”I don’t know if you deserve me.”)とまでいってのける。
そんなピウス13世を危険視して辞めさせようと画策するヴォイエッロたち。その過程のエスターとの下りは長くてそこまで引っ張る意味が分からなかった。ピウス13世のエスターへの執着には異様なものがあった。
枢機卿への演説は相変わらず急進的で独裁的。告解での秘密も聞き出し、全ての情報を握った上で、自分の思い通りに動かない枢機卿には容赦しないと宣言。

中盤あたりから少し見やすくなった。スペンサーの前で感情を露わにして涙することも。感動的な演説もある。愛に溢れたラブレターも公開される。
ヒッピーの両親に捨てられたという生い立ち。後半あたりから周りのピウス13世に対する目も暖かくなったように見えた。
周りからはそう見えなくても、言葉にはしなくても妥協を重ねてきたというピウス13世。少年だった教皇は大人になって、再びもといた場所に戻るのかもしれない。

彼は聖人だったのか、それとも神をも信じていなかったのか、分からない。
それは観る人がどう感じるかに任されているのだろう。

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