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NHKスペシャル「三島由紀夫 50年目の”青年論”」

出演者: 菅原小春
NHKスペシャル

三島由紀夫の没後50年の企画としてはかなり物足りなかった。
大きなつくりとしては最初に三島の抱えた肉体へのコンプレックス、そして三島を知る人たちの証言、最後に三島が真摯に向き合った青年との対話について。
若者代表だろうか、ダンサーの菅原小春が出演。何回か入るそのパートは不要だと思った。三島が抱えるコンプレックスが今の自分にも分かる気がして50年も前の人とは思えない、というような流れに持っていくのは安易すぎやしないか。

気になったのは最近の若者が三島に共感しているという冒頭。三島の作品に対してなのか、生き方についてなのか、どっちともつかない。個人的には、三島個人は共感するなどと言えるような簡単な人物ではない気がする。もしも生き方に共感する人が増えているとしたら、それはそれで理由を探りたいところ。

インタビューのパートは興味深かった。何より、三島と親交のあった現在90歳近い人たちが何人も明瞭に当時を振り返って語っていることがすごい。

タイトルを”青年論”とするのであれば、最後の部分をもっと掘り下げるだけで良かったと思う。三島由紀夫と青年、これだけで十分な題材があっただろう。三島由紀夫vs東大全共闘の映画とはまた違う面白いものが作れたはず。

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