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環境問題で今、日本政府に求めること

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大により、世界的に経済がダメージを受ける中、経済優先の考え方の限界が見えてきた。経済優先は、短期的な株価・GDP・需要を底上げすることができるが、一方で大量生産・大量消費を行い、石油をバンバン消費して石炭火力で安定した電力供給を行う。これによって、地球温暖化・気候変動による災害多発や海洋汚染による海洋生物の減少・土地の活用や汚染によって陸上生物が減少・未知のウイルスの発生による感染症の流行・農薬や化学肥料による健康への影響など様々な問題が浮き彫りとなる。これらはすぐやってくるものもあるが、長期的なスパンでじわじわと我々人類を痛みつけるものも多くある。新型コロナウイルス(COVID-19)によって、我々はこのことに気づくべきである。今回は、私が考える経済と環境の一体化モデルを紹介する。

・グリーンエコ企業に認定した企業への優遇
政府が、グリーンエコ基準を制定しそれを満たす企業を認定して補助金や税控除などの優遇を行うというものだ。再生可能エネルギーの自家発電の導入率や緑化活動の実施状況・プラスチック使用削減の状況・健康に優しい原材料を使用しているかなどを主な指標として構成し、定期的な検査を行い、指標に外れている場合は、『勧告』や『認定取り消し』などを行うことができるようにする。

・原発を除く再生可能エネルギーの普及率を80%へ
現在の電力供給の割合は、2019年度で石炭と石油を合わせた火力発電が75%、再生可能エネルギーは19%である。菅義偉首相は、2050年までにCO2排出量を実質ゼロとすることを公約として掲げており、再生可能エネルギー普及率を30%まで引き上げると述べている。しかし30%では、CO2排出を実質ゼロとすることは難しい。最低でも45%まで引き上げ、目標として80%とするべきだ。再生可能エネルギーには原子力発電も含まれている。しかし原発は、東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故やロシアのチェルノブイリ原発事故など、事故を起こした地点で人が住めなくなり、また放射線が広範囲で散布するなど健康被害が大きい。そのため、地震や災害が多い日本で原発を安全に運用することは、いくら厳格な基準を設けても難しいと思う。そのため、自然エネルギーと呼ばれる太陽光や風力・水力・地熱に加えて、水素エネルギーや燃料電池を利用するべきである。いきなり80%は厳しいと思うが、政府が主体となり、民間にも協力を要請し、支援するべきところには積極的に支援をして、研究開発基金も創設し、研究を後押しする必要がある。

・石油企業などへエネルギー転換を支援し、積極的に呼びかけへ
これまで電力供給やエネルギー・様々な用途で使われ、成長してきた石油企業へ政府が、再生可能エネルギーへの転換を求め融資を行う必要がある。石油企業や石炭事業に協力を求めない限り、再生可能エネルギーへの転換は行うことができない。実際に石油企業などで働いている方は職を失い、収入も得られなくなる。これを防ぎ、全ての人を置いていくことなく、国全体としてエネルギー転換を行うことが必要となる。政府は支援をするところには支援を行い、指導力を発揮する必要がある。

・住居再エネ転換補助金を導入して国内の再エネ普及を促進
一般家庭における再生可能エネルギーの導入を加速させるため、政府が補助金の予算を確保し、各都道府県が区市町村へ配布し区市町村は、再生可能エネルギーへ新たに転換する家庭を把握し補助金を支給する。一定所得以下の世帯とするかについては、政府が補助金制度を作る際に議論の対象となるが、一定期間は所得によらず全世帯を対象とした方が、普及のスピードが加速しやすくなると思う。

・環境対策税を導入し、プラスチック規制を強化
プラスチックの廃棄による海洋汚染は深刻化しており、日本近海だけでなく東南アジアや太平洋にも影響が広がっている。これまでの廃棄されたプラスチックの処理も最重要課題であるが、これからのプラスチックの取り扱いについても重要である。全てのプラスチック製品に税率3%を課して、税収は太平洋ゴミベルトのゴミ回収や海洋汚染対策に充てることを提案する。ポリ乳酸や海で溶けるプラスチックなど環境に優しいプラスチック製品は免税とする。

・日本版疾病対策センター(CDC)を創設する。
米CDCのような感染症や疾病対策の司令塔を日本も創設する必要があると思う。現在は、政府分科会で経済の専門家と感染症の専門家が混在しており、経済と感染防止の両立に苦慮している。しかし、経済を動かすためにはまず、感染防止対策をしっかり決めることが大切であることがこの1年で明らかになった。そこで、感染症や疾病の専門家のみで構成された機関を創設し、政府に提言や勧告できるようにするべきである。また平時の際は、医療提供体制の監視と強化、ウイルス調査研究などを実施する。

・核兵器や原発などの『核エネルギー』の使用禁止を
2017年7月7日に国連で採択され、今年1月22日に発効した『核兵器禁止条約』は、核保有国及び日本などの核の傘に依存する国は参加していない。日本は、核廃絶決議案を国連に毎年提出しているが、米国などへの配慮もあり表現が弱まっている。1945年に被曝した広島と長崎は、甚大な被害を受け、軍隊ではない一般市民の命が奪われている。また近年の核兵器はより強力となっており、地球規模で甚大な被害を及ぼしかねないものもある。なぜ我々人類は、自らの住んでいるこの地球を壊すような核兵器を作り、保有したがるのか?また、原発も事故が発生すればその地域は人が住めなくなる。核は、半減期が数万年規模になるものが多く含まれており、回復に時間がかかる。人体への影響も計り知れない。白血病やがんなどのリスクが大幅に増加し、生涯にわたって後遺症が残ることがある。日本は唯一の被爆国でかつ原発事故も経験しており、核の恐ろしさをどの国よりも知っているはずだ。日本が主体となって、核の完全廃絶に向けた具体的行動を示して欲しい。

・環境を中心とした経済構造の転換
経団連の人事を刷新し、環境や感染症などの専門家などを投入して経済だけでなく環境にも配慮した経済財政運営を行うことが大切だと思う。環境に配慮している企業への優遇拡充や国内の電力供給の転換、工場排水の規制強化などを政府が主体となって行い、これまでの経済・社会構造を根本から環境中心へ転換する必要がある。私たちがこうして経済活動できているのは、この地球が存在してくれているからだということをもう一度再認識する必要がある。

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