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副露(鳴き)派の思考を探る。

現代麻雀では、戦術論や何切るなどがかなりまとめられていて門前主体の攻撃手順に関しては正しく判断できる人が増えていると感じています。

その一方で、副露を中心にした手組みについては技術理解の差がまだ多くあると感じています。(というより、積極的な副露主体の手組みをしたことのある打ち手のが圧倒的に少ないように感じています。)

私自身が、門前主体の手組みや、副露主体の手組み、局単位の参加率の高低もかなり幅をもたせてやってきて、最終的には副露時放銃率の低さを生命線にした参加率の高い麻雀を打つようになったので(成績の安定感から)、ちょっとだけその思考をもとにした"あがれなくてもプラスの鳴き"を紹介してみようと思います。

といっても、普通の鳴く?鳴かない?ではありきたりで面白くないので、もう少し細かな内容でお送りします。せっかくなので、以下の点についてちょっと覚えたような気分になっていただけたら嬉しいです。

鳴きを使って…
(1)自分が何をやっているかを相手に感じ取ってもらう
(2)相手が取るアクションを考える
(3)そのアクションの結果、起こりやすい事と起こりにくい事を考える
(4)起こりやすい事が自分にとって得になるケースを考える
⇒この4つが●●●の基礎

さて、その鳴き、クソ鳴きか?

Mリーグでの石橋さんの副露から。
最新の2つのチーがどういった狙いで行われていると想定されるか、先程の「鳴きを使って…(1)~(4)」の内容をもとに考えていきたいと思います。

A

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【南2局東家 6巡目 ドラ:南】⑦をチー
持ち点38800、トップ目が41400持ち。

1枚目は遠いところから、唯一のリャンメンをチーしたところ。
一見、素人目では意味がわからない仕掛けだと思います。
(仮に、Z○○でこの鳴きをしても全く意味がない事は先に断言します)

▼この鳴きの狙い
A:役牌を重ねて後付けで和了
B:ドラの南を持っているアピールで上家を抑え付け
C:リャンメンチーで早そうに見せる

石橋さんは⑤⑥⑦でチーして、打③。
ピンズでチーの後、すぐに③を切る進行なので、捨牌はホンイツのように見せていない。これを仮にホンイツのように見せるのなら四六6を切る進行になるが、その場合はドラの南を2枚持っていないと見られて攻め込まれる可能性があるため、速度で牽制する意味での③切りなのだろうと推測できます。(この理由は別の機会に説明します。)
役牌が重なってあがれる可能性はゼロではないが、基本的には「ドラの南を持っているからあがりたい!」と場にアピールをしつつ、上家が親に絞ることを期待した進行となります。

B

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【南1局北家 5巡目 ドラ:一萬】③をチー

①②③でチーして、(実際は何を切ったかわからないのだが)おそらく7か1切りとしただろう。

▼この鳴きの狙い
A:ドラの一を生かした三色同順やチャンタをアピールしつつ上家に打牌の制約をさせる
B:万が一あがりを拾えるときは、白の後付け、または123の三色同順のケースがほとんど。多くの場合下家、対面のリーチに万全の体制を整えるのがよい。

鳴くときは2~8を有効に使えるタンヤオにするのが攻撃的な選択となりやすいが、この局のようにドラが【1,9,字牌】の局はたとえ赤ありルールだとしても、チャンタで鳴く手組みで有利に戦えるケースが多くあります。
相手を牽制をする意味を持つ仕掛けでは、役牌を重ねてポンしたときに有利になる形よりも役牌が重ならなかったときに役をつけてあがれる形を目指すのが有効な手段で、この手牌では索子の一気通貫と123の三色同順を逃さない手組みにするのが重要となります。(もちろん白はすぐ切ってはいけない)

さて、ここまで読んでなんとなく内容を感じ取っていただけたと思いますが、この2つの鳴きに共通しているのは、ブラフの要素になります。

ブラフ [1]【bluff】
はったり。こけおどし。特に、ポーカーなどでみせる、はったりの態度。 「 -をかける」

A,Bの鳴きでは、それぞれ、鳴きを使って以下にある(4)の目的を達成しようという狙いがあります。

【もう一度掲載】
鳴きを使って…
(1)自分が何をやっているかを相手に感じ取ってもらう
 ⇒A:早い仕掛け B:チャンタで打点のある仕掛け
(2)相手が取るアクションを考える
 ⇒A,B:上家の打牌に制約を加える
(3)そのアクションの結果、起こりやすい事と起こりにくい事を考える
 ⇒A,B:下家、対面の和了率をあげる
(4)起こりやすい事が自分にとって得になるケースを考える
 ⇒A,B:近い点差で戦う上家を苦しめる

この4つはブラフの基礎

基本的には、自分のあがりが最優先にあって、
「あがりが難しい配牌をもらった時」に始めてブラフを検討し、(1)は副露で自分の役をアピールし、(2)上家を苦しめて、(3)下家と対面にあがってもらって、(4)結果的に上家との戦いが続けられるという流れになります。

いつでもどこでもあがれない手牌でブラフをするのは自身に不利に働くこともあるためNGとなります。条件を以下のようにまとめました。

▼ブラフの鳴きにおける重要事項

■ブラフが有効となる条件
・あがりが遠い
・上家を苦しめたい
・全体的に点差の開きがある

 (点差がフラットだと全員がライバル関係となりあまりメリットがない)
・上家の捨牌が普通である。
 ⇒後から書き足しましたが、上家の手牌進行がチャンタ、国士無双のようにどうせあがれない手組みだと感じた場合は、自分の身を削るのが見合わないので、ブラフはしないでおきましょう。

■ブラフ仕掛けの注意点
・本手の時をイメージした捨牌を作る
 (NG例)
  ・チャンタ風なのに途中で赤伍萬手出し
  ・タンヤオなのに字牌よりあとに19手出し
   ⇒あがりが見えない状態で捨牌を矛盾させてはいけない
   ⇒つまり、最低限のミスの無い手牌進行を知っておく必要がある
・安全ブロックを確保する
 ⇒ターツ、または孤立牌で全員に切りやすい牌を必ず手牌に残す。
・相手が捨牌を読める(警戒する牌がわかる)レベルである
 ⇒少なくとも相手のレベルが高いことが条件。親のダブ東ドラ2に10巡目以降で二向聴以下から放銃する人がいたらその人は自分の手牌しか見ていないだろうから効かない。

条件は色々あるものの、競技麻雀をやっている人ならプロの方と打つ機会があるかもしれないので、上記のようなことを踏まえて仕掛けてみても良いと思いますし、フリー麻雀中心の人も自身のあがりがない時にどうやって上家を苦しめられるか考える日が来たら思い切って挑戦してみていただければと思います。

とにかく重要なのは、「この手牌ではこれを鳴く」のような単純なことではなくて、「ドラが~~のときは、ドラがあるように見える~~で鳴く、さらに、その鳴きに合わせた捨牌づくりをしつつあがれる可能性も残す」みたいな思考だと考えています。

何切る問題や、鳴く鳴かないの問題もそうですが、同じ手牌が生まれない麻雀では似たような局面でどういう判断をするかが重要なゲームなので、上家とライバル同士の局面ではぜひブラフについて思い出していただけると幸いです。(あとは試行回数を重ねて感覚を掴むのみ)

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