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『近所のおばちゃん』と『小料理店』の鍵開け大作戦「note」🗝

困ったおばちゃん

僕の家から最寄り駅まで歩く道の途中に、
『地元客しか来ないんだろうな』と
思うような小料理店がある。

いつもは、その店を当たり前に
歩いて素通りするのだが、今日は違った。

『1人のおばちゃん』が
その店の前に立っていた。

僕は、50mくらい前からおばちゃんを認識した。
「今からそのお店に入るのだろうか」

僕が50m、40m、30mと
その店に近づいていくと、
おばちゃんが困ったような顔で
こちらを見ていた。

20m、10mと近づいた時に、

「ドアが開かないの。
開けて欲しいんだけど、
お願いできないかしら?」

とおばちゃんが言った。

そこから、いつもは素通りしている
小料理店の鍵開け大作戦は始まった。

小料理店の鍵開け大作戦

「鍵の調子が悪くて。
娘がやると開くんだけど、
私がやるとダメみたいなの。」

そうおばちゃんに言われ、
鍵を受取りました。

そのドアはおばちゃんの家にありがちの
『ガラガラガラーっ』という音が
懐かしい引き戸でした。

いざ鍵穴に鍵を入れてみると、
鍵が奥まで入りませんでした。

鍵穴が壊れていたんですね。

『確かにこれは開かないわ』と思いつつ、
開くかな〜と少しチャレンジしてみました。

少し力強く押し入れてもダメ、
いっかい抜いて再度入れてもダメ。

では、細かく『ガチャガチャ』
としてみるとどうか。
『入った。』

これで開くだろう。
反時計回りに鍵を回してみた。
『がちゃっ』

開いた。
約5分の激闘。
後ろから『わぁぁーっ!!』と
おばあちゃんの歓声。

おばちゃんの顔は見てないけど、
きっと口を大きく開けて、
喜んでるんだろうな。

ニコニコおばちゃん

『開きましたよー!』と言いながら、
おばちゃんの方に振り返ってみると、
予想以上の満面の笑みだった。

クチャっとした顔に、
大きく開けた口、
そしてパチパチと音を立てる両手。

そして「ありがとう〜!!!」と。

『こんな笑顔、なかなか見れないだろうな。』
と心の中で思いながら、

『どういたしまして。鍵をカチャカチャと
震わせながら鍵を刺すとうまく入るようです。
次からしてみてください。』

と次同じことがあった時にも困らないように
方法を伝えてた。

また来てね

よし、これでオッケーだな。
と思い、駅へ歩みを進めようとしたら、
おばちゃんが「待って〜」と声を上げました。

「今度食べおいで。一杯奢ってあげる。
私の恩人だから。ちなみに、お名前は?」

心の中が『ジーーーンっ』と温まった。

名前を伝えつつ、
『すぐそこに住んでるんですよ。
ぜひ、来させてください!』
と僕は言った。

あ、そうだ。駅に行かないと。

心の中で呟きながら駅へ歩みを進めると、

「また来てね〜!バイバーイ!」

とおばちゃんがニコニコ満面の笑みで、
あそこから手を振ってる。

僕も手を振り返す。「また来ます〜!」

まだお店に行ったこともないのに,
『また』という言葉を使ってしまっている。

まあいいや。
今度行くし。

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