ワンパク公園のアウトロー

2021年03月05日

新居の近くに、割としっかりした公園がある。
名前は”ワンパク公園”。
しかし、そこに集う子供たちは、ワンパクなんてもんじゃない。
彼らは完全なるアウトロー。
ここは不良少年どもが幅をきかせたスラムだったのだ。

まず、この公園には、遊具がない。
子供たちをお行儀良く遊ばせるための、杓子定規の、決まり切った、大人の勝手で付け替えされる、退屈な、遊び道具など、ない。
あるのはただ子供たちの無軌道な遊びだけ。
ここは無法地帯の世紀末なのだ。

この公園は大きく二つにエリア分けできる。砂敷の大きく開けたメインエリアと、高台のベンチエリア。2つのエリアの間には芝生敷の急な坂がまたがっている。
坂の高さは8メーター程。斜面の角度は30度近い。相当な急勾配。

坂の上で、彼らは横一列に並ぶ。
互いの顔を見合わせながら、興奮混じりに笑みを浮かべている。
全員が坂の下を眺め、一瞬の静寂。
次の瞬間、彼らは坂に向かって走り込む。

ゴロゴロゴロゴロゴロロロロロロロ!!!!!!!!!!!!!!!
助走つけて。飛び込むようにして、横並びで一斉に寝っ転がり、落ちていくのだ。
とんでもない暴走行為。
地面に叩きつけられる直前で、跳ね起きる少年たち。
地獄峠の走り屋もビックリのチキンレースだ。
後半、一人ぐらいは縦回転にでんぐり返ししていたような気もする。

幸い、坂は芝生敷で柔らかい。
しかし、広場は砂、ってか地盤剥き出し。地球の硬さがモロに出ている。
しかも周りは石段で覆われている。
一歩間違えれば死。だが少年たちは恍惚とした表情。
どうかしちまってるぜ。
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あるときは、フェリックスガムの密売現場。
交換レートはフェリックスガム1個に対して、公園で見つけた珍しい形の石1個。
ディーラーの少年は受け取った石を恭しく眺め、撫で、ほくそ笑んでる。
フェリックスガムを受け取った少年は隠れるようにして、目を血走らせながらガムを口に入れ膨らませる。膨らんだガムが破けると、少年は線が切れたように大爆笑。
こいつ、完全にキマっちまってる。

駅前の喫茶店に行く道すがらにこの光景を目撃した僕は、一時間後の帰りしなにもその少年を見かけた。
まだ笑ってた。
生粋のジャンキーだ。
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他にも、ペダルがないタイプの自転車で法定速度ブッチギリの危険運転繰り返す非行少女。
グニャグニャしながら進むタイプの2輪スケボーで後ろから迫り、持っていたお菓子を盗みまくる窃盗犯。
枚挙にいとまが無い。

悪が悪を呼び、巨悪が蔓延るスラム・ドッグ・ギャングスタ・パーク、それがここワンパク公園なのだ。

(最後に関係ない話。
夜公園歩いてたら、前から犬の散歩してるおばあちゃんがいたの。
真っ黒なでっかいドーベルマン3匹連れてたのね。それが体でくっつけてノソノソ歩いてたわけよ。
暗いからよく見えなかっただけなんだけど、遠目から見ると、おばあちゃんがケルベロス連れてるみたいに見えてめっちゃ怖かった。
そういえばあのおばあちゃん、目の感じがどことなくハデスに似てたかも。
以上。)

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※以前書いていたアメブロからの転載記事です。
https://ameblo.jp/yosidayy/

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