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すべて怠惰な一日

ここ2、3日の間、何もする気が起きなくて怠惰に過ごしている。生活リズムも乱れ、食生活も乱れ、仕事も進まない。

とくに今日はひどかった。試しに、今日やったことを順に思い返してみよう。

朝8:00ごろに起きて、まず仕事をしようかと迷いつつ、やっぱり仕事は後で、と後回しに。代わりに川端康成の『美しい日本の私』をおもしろく読んだ。角川ソフィア文庫のもので、収録されている順に「花は眠らない」「美について」「美しい日本の私」の3本。はじめの2本は比較的易しくさらっと読んだが、「美しい日本の私」はもっと深く読み込みたいと思う。私はここ2、3年で日本文化に対する関心が強まってきていて、以前から川端康成の「美しい日本の私」を読みたいと思っていたのだった。それをこの度ようやく手にしたのだが、きちんと丁寧に向き合えば、川端のこの講演から得るものはきっとたくさんあると思う。何しろ引用される人物や歌が多く、そのひとつひとつが興味深いのだ。しかし今はじっくり深く向き合う気力がない。また後で気力のあるときに……。

「美しい日本の私」の中に芥川の遺書の文章が出てきたので、久しぶりに「或阿呆の一生」を読みたいと思い、川端の本は一旦置いて蔵書を探した。2月末に実家に戻って以来、私の蔵書は引越しのダンボール箱に収められたまま、仏間に放置されている。実家に新たな本棚を置くスペースが無いためだ。あちこちのダンボール箱の中を探すが、見当たらない。本の管理の問題をどうするか、そろそろ考えないといけない。やらねばならないことが頭の中のリストに追加されて、途端に逃げ出したくなる。先日同じようにふと読みたくなって探したものの、その時は見つからなかったカレル・チャペックの『園芸家12カ月』がなぜかひょっこり出てきたのでその本と、ついでに目についた池田晶子『口伝西洋哲学史 考える人』を持って仏間を後にした。

なぜ哲学の本が目についたかというと、先週大学生の弟がオンラインで哲学の講義を受けているのを、私も隣で一緒になって聞いていたからだ。しかも、その講義でカントが出てきたな〜と思っていたら、なんとタイムリーなことに、私が好きでよく観ている番組、NHKの『100分de名著』で今月取り上げる名著が、カントの『純粋理性批判』ではないか。そのことに昨日の昼間気がつき、慌てて昨夜の初回放送を録画した。ということがあったので、池田晶子の『考える人』も手元に置いておこうと思ったのだ。弟の講義を一緒に聞きつつ、番組を観つつ、気が向いたらこの本も読もう、そういう魂胆である。

というわけで、昼食にバターを塗ったトースト1枚とりんご1カケとアイスココアを飲み食いしたあと、録画しておいた昨夜の『100分de名著』を観た。しかし頭が働かない怠惰な私だ、テレビの易しい解説について行くのが精一杯で、とてもテキストなど読めたものではない。表面だけさらっとなぞって、今日のところはカントもお終い……。

録画を観ている間に、注文しておいたPRANAROMの精油(ティートゥリー)が届いたので、早速アロマディフューザーに落としてみる。さわやかなグリーンの香りに、少し薬品めいた苦みが感じられる。若々しさと苦みの同居を思い、「若」と「苦」の字の類似に気づく。花粉症のムズムズした鼻が少しやわらぐ。
精油の勉強も進めなければならない。昨日数えたら、資格取得のために覚えなければならない精油が36種あった。学名や効能など細かなところまで覚えるのには、実際に使って覚えることと合わせて根気も必要だ。精油の勉強も明日から頑張ろうと心に誓う……。

風が出てきて少し過ごしやすくなった夕方、庭に出る。タチアオイが満開を迎えている。ピンクはこれ1本のみ。他は全部白い花だ。タチアオイのピンクとデルフィニウムの紫色の競演。

こっちは白色。
タチアオイの花がテッペンまで全部咲いたら梅雨がやってくる、そんな謂れがあるそうだ。

庭で30分ばかり過ごすと、さわやかな風や庭の緑に心が浄化されたかのように、いつの間にかすっきりとした気分になっている。あれもこれも中途半端にして面倒なことは先送りにし、ダラダラと過ごしていた一日が上書きされたかのような気分。
(明日からちゃんと頑張ります……。本当に……。)

上の画像は18:30頃の北の空。たまたま飛び立った鳥が映り込んだ。
(ほんとうは頑張りたくないのだ、頑張りたいこと以外は……。)

夜、家族6人分の食事の用意と、食後の食器洗いを済ませて、一日も終わりを迎える。
仕事もしないし勉強もしないし散歩もしない。実に怠惰な一日。やったことといえば、食うことと寝ることと(庭で)遊ぶこと。「食う寝る遊ぶ」で生きていけたらどんなに良いだろう。

人生の模索は続く。

明日こそは仕事をする。

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