ある事故物件マンションに住んでいた時の本当にあった怖い話
もうずっと昔のこと。
今は気持ち明るく軽く、とっても健やかに生きているのに、ふとした時にまたあのぬるっとした感覚と思い出が蘇ってモヤモヤする。
頭にこびりついた声が脳裏に蘇る。
だからスッキリ出来るかなと思って書くことにした、本当にあった怖い話。
実際に人も亡くなりました。
メンタルが病んだことにも触れています。
苦手な人はこの先を読まないでくださいね。
そのマンションとの出会い
当時、私は27歳。
自分で借りていたマンションを引き払い同棲した彼と別れ、行き場をなくした時に知り合いに紹介されて入った【繁華街に割と近い】マンション。
10階ほどの高さにある部屋、15畳のワンルーム。
場所は便利で部屋は広く、そこそこ綺麗。
だけど洗濯機の排水溝から滲み出てくる下水の臭いが気持ち悪くて、どんよりして怖いという感覚はどこかにあった。家賃も高いし好きじゃなかった。
それでも別れた人の家を早く出るため、私は入居を決めた。
洗濯機を置いたら下水の臭いはしなくなったし、怖いのは久々の一人暮らしの上にメンタルが弱っているからだ。と考えて新生活をスタートした。
夢に向かったはずが、壊れていく心と体
そのマンションは昔から憧れていたメイクの専門学校に近かったので、貯めたお金で専門学校に入学した。私が元々心を病みがちだったので、メンタルケアに繋がるメイクをする人になると誓って働きながら学校に通った。
夢だったメイクを学べて、気持ちが晴れていくと思っていたのに、なぜか元々患っていた摂食障害が酷くなり、肌がどんどん荒れ出した。何をしても治らなかった。
鏡を見るのが辛くなって、学校と仕事を辞めた。
病院へ行ったけど原因不明の高熱が1週間続いたり、帯状疱疹がいっぱいにできた。
警察・ストーカー・付き纏い
そのマンションに入ってから起きたことも今思えば、おかしなことが多かったように思う。
飲み歩き先で知り合って、同じマンションに住んでいると知って仲良くなった人がいた。メンタルが崩壊している私の話を小馬鹿にしながらも、変な人に引っかかりそうになるとそうじゃない、ちゃんと幸せになれと教えてくれる信頼できる男友達だった。その人はいつも暗い部屋で曼荼羅みたいな絵を描いていて、アーティスト色の濃い変わった人だった。
だけどある日マンションからいなくなって、電話も繋がらなくなった。
しばらくしてから警察が2人、その人の写真を持って訪ねてきた。私と一緒にいるところを知っていた。何か悪いことをして追われているらしかった。
仲の良かった人がストーカーのようになりかけたこともあった。
その人がこのマンションは過去事件があったから良くないって初めに教えてくれた人だった。怖いとは思いつつ、見えないものは信じないタイプだったので深くは考えなかった。
その人が一度ワンちゃんを連れてきたことがあったのだが、そのワンちゃんは部屋の中心のちょうど人が立ったら顔の高さくらいの場所に目を向けて、ずっと唸って吠えていた。
初めは悪い人じゃなかった。
摂食障害で美味しく食べることが出来ない私に、食事の美味しさを教えようとしてくれていた。
でもいつの間にかその人の執着みたいなものが強くなって、怖くなって距離をとったら鬼電。オートロックを乗り越え部屋の前のドアをガンガン叩かれ、翌朝、部屋から見える公園を何気なくのぞいたら、そこにその人がいた。
しばらくお店に寝泊まりさせてもらって、オーナーに注意の連絡を入れてもらって、電話を解約して、その後は何もなかった。
向かいの部屋に住んでいた若い男の子。
たまたまエレベーターで乗り合わせて話をした。
今度遊びましょうみたいな社交辞令を、もしかしたら言ったのかもしれない。
私はご近所の挨拶程度に思っていたが、ある日、夜中に部屋のインターホンが鳴り遊ぼうと誘われ断った。その後も何度か来た。覗き穴からその子が見えたが気持ち悪かったのでずっと無視した。
その子はいつも真夜中に来ていた。
父も亡くなった。
戸籍上のたった一人の家族の父が亡くなった。
父と大好きな祖母が眠るお墓を、父の彼女が持っていった。
私は今死んだら、入る墓がないってことに更に病んだ。
孤独感、人への不信感、その反動で来る何かへの異常な執着心が自分を真っ黒に包んでいく感じがしていた。
見える人たちとの出会いで霊感発症
病むに病んでいたけど、仕事はしないと生きていけない。
少しゆるっと働けそうな職場に入った。
そこにいた人はいわゆる霊が見えたり、霊感があると言う人が沢山いた。
私はその話を信じられなかったが、霊感って伝染すると思う。
いや、本当にいるのかな?と思ってしまったことにより、感度を自ら上げてしまったのかもしれない。
自分のマンションの異様な空気に気がついてしまったのだ。
オートロックの扉を入ったら空気が歪む感じ。
エレベーターを降りた廊下の空気の澱んだ感じ。
纏わりつくぬるっとした感覚。
電気が煌々とついているのに全体的に暗い視界。
金縛りにもあった。疲れていたと言い聞かせた。
飲み友達に時々泊まりに来てもらった。
2度目の金縛りで私は認めた。
「このマンション、何かいる」
何かに呼ばれた日
認めてからも、そこのマンションから引っ越すという選択肢が不思議となく、私はその部屋に変わらず住んでいた。
ある日の夜中、寝ていたら、私の体の右側から異様な感覚が襲ってきた。
金縛りも怖かったけど、そんなもんじゃない。
見えないし聞こえないけど、とにかく凄く怖い何かを感じた。
怖すぎてすぐに電気をつけて、音楽をかけて、怖かったけど再び眠りについた。
翌日はそんなこと忘れていたのか、いつものようにベッドで電気を消して寝ていた。
そしたらまた夜中、自分の右側からめちゃくちゃ恐ろしい感覚が襲ってきて飛び起きた。電気をつけて、音楽をかけたが、あまりの怖さに眠れなかった。女の人の気配に感じた。
流石にどうしても家で寝たくない、もう家から引っ越したい、と言って、その日の夜は職場の人の家に泊めてもらった。
翌朝家に帰ると、共同玄関に何人もの警察がいた。
とても物々しい雰囲気だった。
何があったのか聞けるわけもなく、部屋に戻って窓を開けて何気なく下を見た。
そこには白いテープで人の形が作られていた。
その窓は、私が寝ている時、私の右にある窓だった。
どうやらどこかの階のこの窓から、人が落ちたようだ。
エレベーターでの怪奇現象
その日以降、エレベーターで怪奇現象が起こる。
エレベーターはそれまで約2年住んでいたけど、ずっと無音のエレベーターだった。
ある日エレベーターに乗ると、凄く怖いザワっとした感覚がした。
早く降りたい、そう思っているとエレベーターが目的の階に到着。
「ドアガヒラキマス、オリテクダサイ。ドアガヒラキマス、オリテクダサイ。」
音なんて2年間、一度もしたことなかったのに。
男の人の、しかも機械の無機質な声が鳴った。
それ以降、ちょくちょく同じことが起きるんだけど、決まって鳴るのは
乗った瞬間ザワっとする日
一人の日
と言うわかりやすい条件付きだった。
怖がりの飲み友達がうちに来た帰り、一人でエレベーターに乗ったら鳴ったらしく、下に着くや否や電話をかけてきて、私に怒りをぶつけてきたこともあった。
そんなある日、エレベーター修理の人が来ていたので、その現象について聞いてみた。そのアナウンスは地震が来たとき、近くの階に停止して鳴る仕組みだそうで、マンションの他の住民からもエレベーターの誤作動があると言われ点検に来たそうだ。
また別の日、一緒にエレベーターに乗り合わせた住人と思われる若い女の子二人が
「ほんとこのマンションやばいよね!いるよね!」と話をしていた。
過去の事件についての話も聞こえた。
マンション全体に何かあるのだと確信し、引っ越しを決めた。
引っ越し当日、最後の洗礼。
新しい部屋は内見をしっかりした。
ちょっと怖いと思うところ、明かりがあるのに薄暗く感じるところ、なんか好きじゃないと思うところは全て断った。
明るくキラキラして感じる部屋が見つかった。
そして引っ越しの日。
荷物を全て運び出し、鍵を閉め、部屋を出る。
もう2度とここへ来ることはないだろう。
心がスッキリしていた。
エレベーターが1階に着いた。
私は完全に油断して、感じ取ってもいなかったし身構えていなかった。
「ドアガヒラキマス、オリテクダサイ。ドアガヒラキマス、オリテクダサイ。」
丸腰だったから、心臓が跳ねた。
あまりに驚きすぎたのと、それでも心が油断していたので、私は思わず誰もいないエレベーターに「ばか!」と言った。
いつもは2回繰り返すだけのアナウンス。
その日は、私が共同玄関をくぐるまでずっと
「ドアガヒラキマス、オリテクダサイ。ドアガヒラキマス、オリテクダサイ。ドアガヒラキマス、オリテクダサイ。ドアガヒラキマス、オリテクダサイ。」
無機質な声のはずなのに、怒りのようなものが籠って頭にこびり着くような声だった。泣きそうな程に恐ろしかった。
後日談・大島てるで見たこと
事故物件という言葉が広がり、事故物件を確認できる【大島てる】というサイトを見つけた。
過去住んだ物件を全て調査。
やはりこのマンション、事故物件情報ありという炎のマークがついている。
コメントは8件。
マンション1棟に、8件もコメントつくなんてよっぽどじゃないだろうか。
その事があったからかは分からないが、今はマンション名も変わっていた。
「男性が同居女性を___、男性はその後、非常階段から__。」
知り合いや住人が言っていた事の発端はこの事件かな。
その他にも人が亡くなる事件がいくつか。
泥棒やその他事件も多発していたという情報も。
わかる。あの空気にやられて、人の黒い部分が増大する気がする。
私が住んでいた時期がピークだったのか、そのあたりの事件事故情報がほとんどだったが、内見に行ったらあまりの気の悪さにやめたという情報が少し前にもあり、、、やはりあの空気は変わってないのかな。
引っ越してからも、壊れたメンタルを回復するのに時間はかかったけど、起きる出来事も出会う人も明らかに変わった。そのため私はゆっくり回復したし、見えないものがあると知れたからこその成長があった。
心とか感情とか運命とか、そう言ったものと向き合えるようになったのは、そのおかげだ。
今の私になれたからあの時間は必要な時間であったと思う。
だけどあのマンションに関わったことで、皆、執着心や孤独感が膨らみ、ちょっと常識的におかしい行動に出ると言ったことはなかったのだろうか。
引き寄せられたと言うことは、同じ芽を持っていたからだと思うんだけど、それが膨らんでしまうことってあり得ないのだろうか。
上手くいかないことが重なって、心や体が蝕まれたら、環境を見直してみるって言うのも大事だと思う。
あのマンションで亡くなった人たちのご冥福を心よりお祈り致します。
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