大学入試の小論文 その2
「問い」をもって、目の前の文章や資料に向き合うって、そういう経験を積んでいないと難しいよねって思います。
そういう経験を積む際には、最初から難しいことに向き合うのではなく、例えばアニメとかが入り口でよい訳です。最初からアカデミックなにおいがする文章と方法でやろうとすると、脱落してしまう生徒たちが出てくる可能性があるからです。もし、そんな結果が生じるとしたら、それは生徒の自己責任ではなくて、学びのデザインの稚拙さだと自戒を込めて思います。
さて、「問い」をもって課題文や資料に向き合うのが小論文ですが、その支援の一端を書いておいて、自分自身の支援の可視化をしようと思いこの文章を書きます。
たとえば、こんな支援をしたことがあります(実際は口頭で対面でしているので、ちょっとあやふやなところがあります)
こんな感じです。小論文で複数の設問がある場合、最初の方の設問では60字とかで傍線部分の内容を問う問題が多く出題されます。その傍線分は、比喩表現だったり抽象化された表現だったりすることがほとんどです。少ない字数で、そうした表現の内容を説明するので、逆説で説明しては字数も増えますし、直接的な説明ではないので減点対象になる可能性があります。
別の例です。
自分自身のエピソードや、データに基づいて自論を展開できるのは、オリジナリティを示したり説得力を読み手にあたえたり、という点で、そうではない他者との差別化がはかれます。
上記がないと、似たような内容や論調の文章になってしまいがちです。これは、国語の授業でも意見を書いてもらうときに起きることです。そうならないように支援をする。そのために私自身、いろいろなことに関心を持って読んだり調べたりすることが大事だなぁと思います。
たとえば、医療関係の小論文でQOL(Quality of life・クオリティ オブ ライフ)について述べたいという生徒がいた場合に、取る手段は2つです。
・とりあえずweb上で医療とQOLにつて検索してみる
・ciniで論文検索してみる
これでヒットする場合もあるのですが、web上の論説にはフェイクやとんでも情報ではないかどうか検証が必要なので少し手間がかかります。
ciniの場合は本文があるものに限定される(取り寄せの時間や費用がかけられない場合も多いので)ということもありますし、生徒に示して読めるのかという問題もあります。
それらをクリアしつつ、データとその分析考察を「知識」として生かせるように使ってもらうということを支援として行っています。
また、私自身役立ってるよなぁと実感するのは「新聞」です。私は新聞を毎朝読んでいます。時間がそれほどは取れないので、1紙のみですが、それでも社会から経済から国際からなにやらの情報があるていど網羅的に、そして最近話題の情報としてインプットされます。
すると、例えば医療関係のQOLに関連した記事やコラムを読んでいることがあり、それを思い出して生徒に示すことができます。幸い、本校の図書館には全国紙がそろっていますしバックナンバーも保存されているのでコピーして渡せますし、web上に載っていることもあります。
少し前に私が参照したのは、毎日新聞に連載されている鎌田實さんのコラムでした。
コラムに記載の情報をそのまま使うのではなく、コラムで引用されている情報のもとをたどって生徒には示しました。そうしないと、信頼のおける情報であるのかどうかあやふやなままに生徒に渡してしまうことになるからです。
新聞に掲載されている情報は信頼性が高いとは思いますが、万一ということもあります。小論文を読む大学教員はその領域での専門家なので、疑念をもたれないデータを示すことができるように支援する必要があると考えています。
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