テキトーを重視して─────────────

俺は寸也斗に連れられ、じいちゃんの宿屋に行った。ついてきたのは初期メン(昴、寸也斗、パッソコン)だけ。
「昴のじいちゃ~ん!」
そう言って寸也斗はじいちゃんの宿屋に入っていった。じいちゃんは倒れていた。
「っ⁉」
俺は思わず息を呑む。
「救急車!救急車を────────────────」
あの時の記憶がフラッシュバックする。ダメだ、救急車は宛てにならない。俺はじいちゃんをおぶった。寸也斗は
「そっか。。。星乃ちゃん、そうだもんね。。。」
と一人納得した。俺は早口で
「近くの病院はどこ?何分くらい?」
と尋ねた。寸也斗は
「大体8分くらい歩くけど、大丈夫そ?」
と俺のやることを理解していった。俺は
「大丈夫だ!」
と言ってじいちゃんをおぶって走っていった。寸也斗はチョコチョコとついてくる。

病院が見えたその時だった。青信号が、赤信号になったのだ。
「急がないと!」
俺はいそいそと渡ろうとした。寸也斗が
「辞めろ!」
といった。・・・・・・そうだ、星乃の時もそうだった。おれは必死で自分の足にブレーキを掛けた。
そして、青信号になった途端、走り出した。でも、途中で足をくじいてしまった。
「いっ⁈」
最初、何が起きたのかわからなかった。理解が追い付かなかった。寸也斗が
「俺がじいさん背負うから、のんびり歩いてこい!」
と言った。俺はじいちゃんを寸也斗にパスする。
「後は、頼む!」
俺は祈った後、痛い足を必死に動かしながら病院へ向かった。

俺が病院に入ったころには、じいちゃんは手術室に居た。俺は寸也斗に言われて、くじいた足をドーピングしてもらった。
そして、じいちゃんの手術室の前で座っていると、治療中のランプの点灯が消えた。終わったのだ、手術が。おれは願った。とにかく願った。
「じいちゃん、生きて!」
人の死を一度味わったから。人の脆さを知っている。人の死を間近で見たから。命の大切さを知っている。

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