難民のベトナム語

日本でインドシナ難民の取材をしている時に、「これはあんまり今のホーチミン市では聞かないな」というようなベトナム語がいくつかありました。

今回はそのベトナム語について少しだけ紹介しようと思います。

①お母さん( Má )
これは南部で有名な方言の1つですが、母親を呼ぶ時はたいてい「Mẹ」を使うので、これを単体で使うことは今のホーチミン市の若者は少ないです。
しかし、難民の子供たちでは今でも現役で使われていることが多いです。
あと「Đ※ má(クソが、くそったれ、クソ野郎が)」と言う時に関してはどちらもかなりの頻度で使います。

②日本(Nhựt Bổn)
これはいまじゅんさんの記事にもあるのでまだ南部やメコン・デルタに残っている言葉です。

この前、難民2世の方が僕を紹介してくださったときに「Người Nhựt」と言っていて驚いたことがありました。
難民2世でも20代30代の方はNhật Bản とNhựt bổn をうまく使い分けている人がおり、これは珍しいなと思い紹介しました。

③ベトナムの南部発音( イッナーム )
Việt Nam をイッナームと発音する人は私はどうしても素性やルーツが知りたくなります。
イッナームは古い南部弁で地方の年配の方が言うのはわかるんですが、50代やそれより下の年代だと何かしら理由のある人が多いです。
ホーチミン市では本当に年配の南部人しか聞くことができない発音です。

④ライチ、布の南部発音( ヤァイ )
これもおそらく地方では残っている発音だと思います。ライチ、布のベトナム語は「 Vải 」です。これを南部弁の法則で話すと「ヤァイ」になるのですが、Dảiとも発音がかぶるためあまり通じません。でも発音がネイティブレベルで文脈がしっかりしてればホーチミン市の若者でもわかってくれると思います。
ちなみにヤバいという意味の「Vãi」は「ヴァァイ!」とまくしたてるように言います。こういうのは南部弁の発音に則って言うことはほぼないです。おそらくスラングを訛りで言ったらクソダサいからでしょう。

⑤何べん言ってもわからんのか( Ba láp ba xàm )
これは子供を叱る時に言う言葉ですが現代では「súc sinh(家畜野郎、畜生)」という上位互換の単語が出てるため、あまり使われてるのを聞いたことがないです。(自分のベトナム歴が短く、あまり聞いてないだけかもしれませんが)
難民の方で知っている人が多かったですが悪い言葉なので子供に言ったことはないという話も聞きました。「súc sinh」のほうがもっと悪いと思いますが…
一度「Ba láp ba xàm 」をベトナム中南部の家庭で聞いたことがありますが、言われた子どもの姉が「いつの言葉だよw」と馬鹿にしてたので現代では珍しい言葉だと思い紹介しました。

⑥男色野郎( Lại c※i )
これは難民2世の方に教わりました。
現在のベトナム語では同様の単語があり(敢えて書きません)そっちのほうがよく使われます。
用法としては「彼女いないの?さては男色野郎か?」といじる時に使われるそうですが、私はまだ聞いたことがありません。


また、難民2世たちがほとんど言わないベトナム語もあります。

~quá vậy~(めっちゃ~だわ~)という言い回しで「Dễ thương quá vậy~」のように使います。チャットだと「Dễ thương quá e」や「Dễ thương quá y」のように書かれたりもします。
当てつけに相手に「Mệt mỏi quá vậy~(くそめんどいわ)」言うという使いかたもされているのですが、やはりあまりお行儀のいい言いかたじゃないらしく、それを言ってめちゃくちゃ親に怒られている中高生ぐらいの子供を見たこともあります。
比較的新しい言葉なのか、親が行儀の悪い言葉なので教えなかったのか難民2世で知っている人を見たことがありません。


自分はnoteで活躍されている方々と比べるとベトナム語の学習歴はあまりにも短いので、間違っていることもあると思いますが、何かの役に立てれば幸いです。



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