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【今日読んだ本】鹿男あをによし(万城目学著)


ストーリー

2学期限定の臨時教師として奈良女学館にやって来た小川。ほんの少し神経衰弱気味の彼は、ある朝、気分転換に散歩に出た奈良公園で“鹿”に話しかけられるが――!?
(Amazonのサイト内本の概要より)

書き出し

きみは神経衰弱だから。
焼魚の背骨を除きながら、教授は言った。
どういうことです? とおれが訊いても、教授はそういうことだよとやけに素っ気ない。
「ずっと研究室に籠ってばかりというのもいけないよ。もっと外の空気も吸って、人間の幅を広げることも必要だよ」

感想

万城目学さんの代表作のひとつで、私としては、大好きな千秋先輩改め玉木宏さんが演じていたことで、それだけでもう満点です(笑)

今年の4月に修学旅行ぶりの奈良を旅して帰ってから、奈良が舞台の本をやたらに読みたくなりまして。図書館で借りててきました。
頁をめくり、わかる、わかるぞの繰り返し。
東大寺の裏にこんな原っぱがあり、とか、平城京のだだっ広い公園とか、行基の噴水のような(ほんとうに噴水みたい!!)銅像とか。

東大寺の鹿(2024/4/15)
春日大社の鹿(2024/4/15)

前に読んだ時は、これらはただの「奈良の描写」だったのに、今回は、まるで地元民のようにそのシーンが、ああ、あそこね!とありありと浮かんでくる。これは嬉しい。

奈良公園の鹿(2024/4/15)
小川とイトが腰かけていた猿沢池そば
東大寺南大門

話はもう、万城目ワールド全開ですから、とやかく言われる筋合いはございません。私的にはとにかく面白いに決まっている。
(ストーリーを知っているのにワクワクして読みました)

知らない方のためにざっくりお伝えするならば、神経が細すぎてネガティブな主人公小川は、ヘマをするわ、人とのつきあいが下手すぎて嫌われるわで、研究所内でも腫物扱いされており。
そんな中、小川と最も気まずい関係のある助手(彼は小川のとんでもないヘマのせいで一度助教授になりそこねている)が再度助教授昇格に挑戦する。そのため君が今使用しているパソコンが必要なんだ、と教授に説明され、三か月間、奈良の高校、しかも女子高で教師をするところからはじまる。
うん、不穏。
9月に赴任していくも、当然初日から生徒に馬鹿にされる。その後も生徒から嫌われて、いつまでたっても胃が痛い日々を送っていると、ある朝突然、鹿に話しかけられる。
あ、俺本当の神経衰弱になったと思うのだが、実は、という。
奈良の鹿、京都の狐、大阪の鼠がそれぞれ協力し合って、世界の危機を回避しちゃう壮大なストーリーなんだけど。
鹿男の意味とは?
謎の「サンカク」を見つけ出すことはできるのか?
みたいな感じかな。

テレビドラマだけしか見ていない方がいたら、ぜひ原作を読んでほしい。
テレビドラマにほうは、無駄に(?)恋愛系の要素があったと記憶しているのですが、原作だとむしろ甘酸っぱいというか、それって青春やんっ!てなっちゃうので、私は原作の設定の方が好きです。
(最高やん。ヒメミコなのか鼠なのかはわかんないけど、その方法にしようと思ったやつグッジョブ的な)

あ、でも、ドラマで玉木宏さんが住んでいたあの部屋とか古民家風の佇まいは、映像ならではのよさですよね。
やたらに神経が細くて、読んでいてもちょっとイラっとしちゃうタイプの主人公なのにかわいいと思えたのは、玉木補正が入ったせいかなとも思うし。
綾瀬はるかはかわいかったけど、原作を読んで改めて振り返ると、え?あの役いらなくね?ってなっちゃうのは私だけ?

よく言われているようですが、「坊ちゃん」が下敷きになっているらしいというのも、さわやかに読めちゃうポイントかもしれません。
小川先生と堀田イトのそれぞれの選択が、ほんとうにほっこりするし。それがこの物語の一番好きなシーンかもしれません。
うん、よかった(ニヤニヤしちゃうわ)

また奈良に行きたくなった~
(鹿に会いたし)



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