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高尾山のある八王子市の「八王子」って誰の子ども(王子様)なの?

私は歴史オタクで、しかも正史というよりは、少し斜めにあるような、歴史の裏側を調べるのが好きなタイプです。
よって、随所に、諸説ある的なエピソードがちょいちょい登場します。

それではまず、皆様気になっているであろう「八王子」の地名の由来から。
それはもう、想像通り八人の王子、ですよね。
それでは、一体誰の「王子」なのか。

高尾山展望台から見た、八王子城跡地

これは諸説ありますが、牛頭天王の八柱の王子という説が一番有力です。
ちなみに牛頭天王と書いて「ごずてんのう」と読みます。
私の大好きな素戔嗚尊や、薬師如来とも同一視されています。

牛頭天王(ごずてんのう)は日本における神仏習合の神。釈迦の生誕地に因む祇園精舎の守護神とされた。京都東山祇園や播磨国広峰山に鎮座して祇園信仰の神(祇園神)ともされ現在の八坂神社にあたる感神院祇園社から勧請されて全国の祇園社、天王社で祀られた。

Wikipediaより

牛頭天王は、インドにある祇園精舎の守護神です。
祇園精舎とくれば、もうこれですよね ↓

祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響あり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。おごれる人も久しからず、唯春の夜の夢のごとし。たけき者も遂にはほろびぬ、偏に風の前の塵に同じ。

平家物語

平家物語は八王子市にあまり関係ないのでこれ以上は広げませんが。

祇園つながりで皆様がイメージするのは、京都の祇園ではないでしょうか。
祇園にある八坂神社と、祇園の地名は深いつながりがあります。
そもそも八坂神社がある地域が祇園と呼ばれるのは、そこに、祇園の守り神であった牛頭天王を祀っていた祇園社(明治元年に八坂神社へ改名)があったから。

縁結びの神様でもある八坂神社で結婚式を見ると、縁起がいいのです(*^_^*)
2022/5/21 京都の八坂神社にて撮影

その八坂神社は、現在は牛頭天王ではなくて、素戔嗚尊とその家族を祀っています。牛頭天王と素戔嗚尊は同一人物ということになっているのですが、まったく別のキャラクターなんです。

牛頭天王は、明治時代に神仏分離令によって、素戔嗚尊に名前を変えた歴史的背景があります。インドの神様の弁天様と、素戔嗚尊の娘の市杵島姫命(厳島神社の主祭神)が同一視されているのと同じなのですが、これはまたいつかお話します。

さてさて、話を戻します。八王子市の由来となっている八王子の父、牛頭天王は、その妻である頗梨采女(はりさいじょ)との間に八人のこどもをもうけた、とあります。

頗梨采女は、八大竜王の一柱の娑伽羅龍王の娘であり、八王子神(八将神)の母であるともされている。
『色葉字類抄』の祇園では、牛頭天王の后で娑伽羅竜女といい八王子ら84654神が誕生したとし、『祇園牛頭天王縁起』では南海の娑伽羅竜宮城に住み、金毘羅女、婦命女の2人の姉がおり、竜王の第3女とされる。

Wikipediaより

牛頭天王の奥様は、八大竜王の娘とか、竜宮城にいたとか、なんだか凄そうな姫です。
つまり八王子とは、素戔嗚尊と同一視される厄除けの神様「牛頭天王」と、八大竜王の娘「頗梨采女」の間に生まれた王子たち。
全く異なる種族というか、特殊な組み合わせから生まれた、ハイブリッド感があります。どんな王子たちだったのでしょうか。

同一視される素戔嗚尊にも、やっぱり同じく八人の王子がいることが、興味をそそられます。
(八坂神社に八柱御子神として素戔嗚尊と一緒に祀られている)

八坂神社に祀られているのは、素戔嗚尊とその妻二人、妻のひとりの両親なのですが。
一緒に本殿に祀られている妻の子は本殿に祀られていないのに、
ここにはいない女神(天照大神)との間の子が、
素戔嗚尊の御子神として祀られているのがちょっと不思議です。

素戔嗚尊にはたくさん御子がいらっしゃるのですが、八王子と呼ばれる御子神は、天照大神と素戔嗚尊の誓約(うけい)の時に生まれた八柱のこと。

誓約とは、古代の占いの一つで、あらかじめ定めた二つの事柄のどちらが起こるかによって、吉凶や正邪、また事の成否などを判断すること。
あらかじめこうだと決めて占った結果がその通りになれば、神によって潔白が証明される。

母である伊邪那美命を亡くし自暴自棄になって騒いでいたため、父の伊邪那岐命に追い出された素戔嗚尊は、姉の天照大神に会いに、姉が治める高天原へ昇ります。
ところが天照大神は、弟が高天原を奪いに来たと勘違いして、戦闘態勢で待っていたのです。
素戔嗚尊は姉の疑いを解くために、誓約をしようと申し出ます。

素戔嗚尊の武器だった「十拳剣」から美しい女神が生まれたため、潔白を証明されたと古事記などに記載されているわけで。
そして、この時に、十拳剣から生まれた女神三柱と、天照大神の「八尺の勾玉の五百箇のみすまるの珠」から生まれた男の神五柱の計八柱の御子を、「八王子」を称しています。

同一視される神様(牛頭天王と素戔嗚尊)の御子が、どちらも八王子なのは、大変興味深いですね。

まあ、結局「八王子は誰の子」問題は、多分牛頭天王の子であり、もしかしたら、素戔嗚尊の子でもあるかもね、ということです。
↓ 八王子市の見解は、牛頭天王の子の八王子となっています。

そしてこの八王子市は、風水的に言うと龍穴であり、大変エネルギーが強い場所として、知る人ぞ知るパワースポットなのです。

龍穴とは、三方向を山で囲まれ、一方が平地になっている場所のこと。
龍(エネルギー)が山の通り道の地面を進み、平地になったところで龍が表に出てくる場所。

八王子市は、江戸から明治に変わる時に、皇居をこの場所に移す話もあったとされ(建設に時間がかかるため立ち消えとなる)そのパワーは折り紙付。
富士山と高尾山は、霊力が通る道と言われるレイラインで結ばれているし、高尾山は、修験者たちが今でも修行をする霊験あらたかな山でもあるし。

高尾山山頂より、雲の向こうにうっすら見えている白い峰が富士山

八王子という名前にも何か隠されたパワーを感じますが、さらに八王子市にある高尾山は、昔からパワーがある場所として、多くの人たちに認知されていた聖なる山。むしろパワーがありすぎて、隠されている感すらあります。

ほら、ほら、高尾山に登りたくなって来たでしょ?

おいでませ、高尾山(回し者ではございませんが)

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