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セミファイナルのおすすめ曲

前回は、クラシックを聴くきっかけについて書いてみましたが、今回は、今年のセミファイナルの演奏予定曲のうち、普段クラシック音楽をあまり聴かない人でも楽しめそうな曲を、独断で選んでみました。コンクールとコンサートの違うところは、同じ曲を違う演奏者で聴き比べできることです。ですから、複数のコンテスタントが選んだ曲という観点でも選びました。

ベートーヴェン:「テンペスト」

まずはベートーヴェン ピアノソナタ第17 番 ニ短調 Op.31-2 「テンペスト」。今年のセミファイナルでは、北村 明日人 さんと森永 冬香さんが演奏されます。テンペストとは「嵐」のこと。追い立てられるような焦燥感を掻き立てる第三楽章は聴いたことのある人も多いのではないでしょうか。

ここでは金子一朗さん(2005年特級グランプリ)の演奏をご紹介します。

わああ、追いかけられるぅぅ・・。締め切り前・・!

ショパン:ピアノソナタ第2番 Op.35「葬送」

そしてショパンのピアノソナタ第2番 変ロ短調 Op.35「葬送」。ショパンが書き残した3曲のソナタのうちの2番目の曲で、今年は藤澤 亜里紗さんと鶴原 壮一郎さんが演奏します。第3楽章は「葬送行進曲」で、この荘厳なメロディーは有名です。

梅村知世さん(2010年特級グランプリ)の演奏で、第三楽章をご紹介します。

ヨーロッパのお葬式ってこんな感じなのね・・。日本のお葬式とはだいぶ違いそう。

ラヴェル「夜のガスパール」

そしてラヴェルの夜のガスパール。吉原 佳奈さんと藤澤 亜里紗さんが演奏します。詩人ルイ・ベルトランの 散文詩の中から幻想的なテーマを持つ3作品に着想を得た、「オンディーヌ」「絞首台」「スカルボ」 の3曲から成っています。

ここでは亀井聖矢さん(2019年特級グランプリ)の演奏から「スカルボ」をご紹介します。

「スカルボ」とは悪戯好きの妖精のことで、目まぐるしくかけめぐる様子を、技巧的に、大胆に表現する曲です。

この他に、このコンクールのために作曲され、全員が演奏する新曲課題曲も聴きどころの一つです。こちらの記事もぜひ!

コンクールとコンサートでは、選曲の基本戦略が同じではないように思います。コンサートでは、自分の表現したいことを主軸にしつつも、やはりお客さんへのサービス精神というか、幅広い層が聴きやすい曲を入れておく、という戦略を取る演奏家も多いでしょう。一方コンクールで、各審査員の先生の中に確固とした「理想の演奏」が存在するような有名曲を選択するのは、やはり勇気がいります。ただあえてそこに挑戦することも、一つの姿勢の表明です。

セミファイナルの課題は45~55分の「コンサート」ですので、この両方を意識しつつ、まとまりとストーリーを持ってプログラムを組み、演奏する力が求められます。今回ご紹介した曲を軸としながら、各出演者が前後にどのような曲を持ってきたのを比較するのも、セミファイナルの聴き方のひとつではないでしょうか。

ピティナ特級 セミファイナル

日時:8月14日(日)午前の部10:30開演 午後の部14:45開演(予定)
会場:第一生命ホール

セミファイナル直前の8月13日(土)10:00~は、「セミファイナリスト出演!クライマックス見どころ大紹介」の配信も予定されています。
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(画像提供:ピティナ)