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震災が起きた時にスタートアップ・VCができることを考えたい。

2024年1月1日に能登半島地震が起こった。スタートアップ企業として、VC(ベンチャーキャピタル)として私は何ができるのだろうか。10日が経過した今、再度考えたいです。

本文を読んでくださる方へ〜はじめに〜

まずは今回の能登半島震災で被災した全ての方々にお見舞いと、一刻も早い復興をお祈りいたします。

この記事を書くか、書かないか迷いました。かなりセンシティブな事態ですし、いろんな人が色んな感情を持っているし。

私が個人として現状何か大きな動きが出来ていたり、情報を持っているわけではありません。

それでもわざわざ、私が文字にする意味は何なんでしょうか。

この問題を外に発信することで、多くの人と共に考えたい。

上の問いに答えを作るとしたら私の個人的な想いです。むしろそれに尽きると思います。

この記事が一人でも多くの同業界の人の目に留まり、多くの方のご意見を頂けますと、幸いです。


かつて訪れた地に、震災が起こった。

少し自己紹介します。今村柚巴と申します(ゆず、と呼ばれてます)。
私は都内の大学に通いつつ、ベンチャーキャピタルというスタートアップ企業への投資会社に所属しています。

今でこそスタートアップ企業、ビジネス、起業。というような側面の印象が強いと思われますが、私はそもそも『地方創生・旅』がキーワードの人間です。

2020年、20歳の頃にコロナウイルスが流行し、全国の観光業がストップしました。そんな時地域の「ゲストハウス(民泊的な、比較的安価な宿)」の応援がしたくて、「全都道府県のゲストハウスを巡る日本一周をクラウドファンディングを用いて行い、ガイド本を出版」と言う活動をしていました。

そもそもゲストハウスが好きになった理由は、海外でさらわれたところを助けて頂いたから。。などありますが長いので端折ります

当時何も持っていなかった私の手を最初にとって、一緒に頑張ろうと声をかけてくれたのは、他でもない地域の当事者の方々でした。
この旅を機に地域の方々の暖かさにもの凄く救われ、心から大切と思える人が何人も何人もいます。

だからこそ、1月1日の震災の報道が入った瞬間に頭が真っ白になりました。

Xを更新し続け知人の安否発信を探し、家族との外食先から家までの車の運転時に事故を起こさないことだけに意識を向けていました。(知人に関してはほぼ全員の安全投稿を確認することができました)

福井県で約半月過ごした花農家。

本当は今すぐにでも現地に行って、できることをしたい。

情報が溢れている中、自身の所得面、体力とスキル、余裕等を考えた時、友人が主催してくれた勉強会に参加して、少額を寄付することくらいしかできることがなく、強い無力感を感じました。

企業だからこそ震災被害に対してできること

その後。1日2日と少しずつ被害の甚大さが露呈されてきて、寄付情報等が発信される中、幾つかの企業の動きが目に留まりました。

Yahoo!やGMO等のインターネット企業が基金の寄付先を作ったり

インフラに強い会社(トヨタやYahoo!)が現地に必要な情報を提供したり

震災被害に必要な物資を持つ事業会社が物資提供を行なっていたり(ロッテがホッカイロの会社であることをこの震災を機に知りました)

私がビジネスという観点で最も好きな言葉は松下幸之助の「企業は社会の公器」という言葉なのですが、「企業」という力を今この時に適切に動かしている事実に単純に尊敬しました。

私が所属するベンチャーキャピタルは会社が約10人程度の規模であることから、毎日会社代表と議論する近さで働いています。

今の私は会社の力を使うことができる。自分1人よりはできることが多いのかもしれない、と代表の木下さんに連絡をしてみました。

そして今、動き始めて、想像以上の難しさを痛感しています。ベンチャーキャピタルとしてできることは何なのか。誰に協力したらいいのか。割くことができる時間やお金や人。今までなかった行動を取る時に考えなくてはいけないこと、知らないと分からない情報の量は想像の何倍も大きかったのです。

◆ベンチャーキャピタル(VC)ってなんだ。

そもそもベンチャーキャピタル(以下、VC)ってなんの会社やねんと言う方の為に解説しようかと思いましたが、以下の瀬戸内VCの山田さんの記事がとてもわかりやすいので引用させていただきます。

私は、「ベンチャーキャピタリスト」という少し変わった仕事をしています。この仕事は、誤解を恐れずに言いきってしまうと、投資家からお金を集めて、スタートアップに投資する、それだけの仕事です。(中略)そうして、数年が経過し、投資したスタートアップ企業が上場やM&Aした際、リターンとしてお金が入ってくるというわけです。

1億円集めても手取り8万円。それでもベンチャーキャピタリストとしてつくりたい未来。

VCのお仕事は要は「会社に対する投資」です。未上場の、生まれたばかりの小さい会社や起業家(スタートアップ)に対して投資を行なっています。

株式、投資と言うと証券会社やトレーダーをイメージされる方もいらっしゃると思いますが、かなり性質は違います(山田さんの記事をご覧頂けますと幸いです。本当に持たれる印象と実情が分かりやすく描かれていて凄いなぁと思いました)

より丁寧に、美しく書くと

「まだ誰も気づいていないが絶対に社会に必要なものを生み出す組織を見つけ出し、適切に社会実装できるように全てのサポートを行う」お仕事です。

GAFAやUber,スターバックスは全てVCからの調達を行っており、アメリカで株式上場する企業の60%以上がベンチャーキャピタルの支援を受けている。という統計もあり、「イノベーション」や「社会の大きな転換」が起こる瞬間に、その牽引者であるスタートアップと共に汗水を垂らして動くことができるのがVCと言われます。し、私はそこが魅力だと考えてこの業界に飛び込むことを決めました。

そのことを決めた直後に、この震災は起こりました。

イノベーションの火付け役は、今どうあるべきなのか。

震災を受けて約10日。自分なりに行動し、思考し、難しさを知った結果、今現在の私は

今、日本という国が大きく変化して、人が苦しんだり、時勢が動いたりしている。イノベーションのことを最前線で考える我々VCやスタートアップこそが、やっぱり動くべき時なのではないか

と感じています。

正直、甘い発言だとは認識しています。

先に言ったようにスタートアップは生まれたばかりの会社です。そこに投資をする我々VCも小さく先が見えない世界で働いています。

スタートアップもVCも、大企業とは違って資金や人材的な体力が十分にあるような業界ではありませんし、直接被災地の力になれるサービスを持っていることも稀です。
正直、会社の合理性を考えると「やらない理由」の方が多く、何でもかんでも善意でやれるもんじゃないんだな。と毎日痛感します。(震災以外のことでも)

でも、同じくらいスタートアップだから、VCだからできることはあると思うのです。

震災が起こってから何名かのVCの方に「何ができますか、何を考えていらっしゃりますか」と質問を重ねてきました。(ご迷惑でない範囲で)
質問させて頂いた全ての方がそれぞれのVCの方針や考えていることを答えてくれ、相談に乗ってくださりました。皆様に深く感謝します。

その議論の中で、ベンチャーキャピタリストの久保田雅也さんが以下のような事例を紹介してくれたり、

IT業界の事業家の方が集まる災害緊急支援団体があったり(キープレイヤーズの高野さんが教えてくださりました)

思い返せば、今では当たり前にみんなが使っているLINEも、東日本大震災を機に作られたプラットフォームだったり。

私が想像している以上に、スタートアップが動いている事例は多く存在します。

だから、その中でも私が属するVCとしてできることはまだまだ沢山あるんじゃないかと思います。

VCやスタートアップは未来を見つめるお仕事だと考えられています。5年、10年、もしくはもっと先の世界に必要なものを誰よりも早く生み出せること。遠い未来をしっかりと見つめ、その上で逆算をして今の動きを実装することがスタートアップの強みです。

しかし、それと同じくらい超近距離を見つめて今、この瞬間に最適なことを行えるのも、小さく柔軟なスタートアップだからこそできる大きな強みです。

何より、私は自分の勤めていく先が、未曾有の事態に真っ直ぐ向き合う業界であって欲しいのです。

福井県今庄のトンネル

だから、一緒にできることを考えていただきたいです。〜おわりに〜

私がこの文章を公開することで何が変わるのかは正直わかりません。公開することに不安も大きいです。

若い意見、甘い意見、綺麗事、口先だけ。文字を書いていて何度も自分に対してモヤモヤしました。

でも、やっぱりこの話は一度机にあげ、議論を行い、何が今現地で本当に必要とされ、我々VCは何ができるのか。
考えた上で行動に起こしたいのです。

色々書いていてもまだ何が最適か私もわかっていません。しかし、やはり質問をすると色んな方が意見を寄せてくれることもあり、1スタートアップに携わる人間として、この場で改めて思いを投げかけてみようと思いました。

長文失礼いたしました。できることを考えてくださる方、ご意見、なんでもお寄せいただけますと幸いです。
(XのDMを開放しております。こちらまでお寄せいただけますと幸いです。)
X→ゆず@ノマド女子大生

以下、私が個人的に素敵だなと思った行動をつらつら記載します、、(随時更新します)

East Venturesの平田さんが新規寄付(イベントにではなく、現存の寄付サービスを行った証明を見せて、参加をする形です)前提の四季報写経イベントを開催しています。既に25万円が寄付として集まっているそうです。いつもながら本当に尊敬します、、(今週末13日だよ!)

MIXIが大型支援。スタートアップ企業に属して始めてこの規模の大きさを再認識しました。。

食べチョクの支援サービス。

追記

①2月19日付でSkyland Venturesとして企業版ふるさと納税を使い、500万円の寄付を山陰合同銀行と共に実行いたしました。少しでもできることを。

②NPO法人ETIC.の関連団体メンバーとして昨日より石川県七尾市の復興支援ボランティアを行いました。このこともまた文字にできればと思います。


人生のターニングポイントをこのマップに刻んでいってください〜 https://universityofuniverse.net