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ゆずの新卒VCの11週間目。〜投資先に丸一日いたり、起業家の苦悩に触れたり〜

今村柚巴、新卒でVCとしての勤めてます。週報という形で自分にとっての学びなぞを描いていきたいと思います。

6月10日(月) 67日目

先週末から絶賛インキュベーション荒波ウィーク!

荒波参加者のゆうくんがいまして。彼が今作っているプロダクトはZenly的な位置情報アプリケーション。

ただ、「まずはつくる」という目標は定まりつつも、他のやるべきことが迷ってそうだったので。友人の起業家の西川くんを紹介してみました。

西川くんは元々位置情報アプリケーションを作成しており、数回のPivotの結果今はインドのメンバーとともにAI開発を行なっています

視察note。視座に富んでるのでぜひ読んでみてください。

日本の大学を辞めてアメリカの大学にわたり、シンガポールでインターンしたり起業のアイデアを何度も回しているような人で、彼自身経験値がかなり高いし、リサーチの精度が深い。

「まずは2週間で最速でアプリを作る。そのチームの土壌はある。そこから何度も実験して数値を追って正しいかの仮説を検証する。わけわからん状態ならまずは超高速で作って回すしかない」

と言い切っておりました。

爆速で作れるチームがいるのがまず驚きっていうかすごいなって感じなのですが、その仮説検証のスピード感がtoCサービス(しかも1回目の起業やアイデア)では必須。また、同業界で自分より圧倒的に深ぼって深ぼっている人と出会うことでいい意味での焦りが生まれるのかも。

起業家及び人間が一番成長する時ってそうなのかもしれない。

6月11日(火) 68日目

V Tuber系の人にたくさん会う日だったので、ちょっと考えてみました。
なぜにじさんじは成功したのか。一方バーチャルヒューマンが成功しづらい理由は。

1,数の暴力

にじさんじ/ホロライブはまず数の暴力的にキャラクターが同時期にデビューしています。キズナアイを含む初期のV Tuberはソロクリエイターが多く、数の暴力というよりはトップ層が引っ張るモデルになっていると感じます。しかしそうなると制作資金に対してファンの数が増えていかない。ある一定レベルまで広がっていくもののそこで打ち止めになってしまいます。

キャラクターには多面性があるものですが、あまりに設定がちらつきすぎるとブレます。それを多数キャラに分散することでファンの数が単純に倍々になります。現状のバーチャルヒューマンはカリスマ的な個人キャラが多く、VTuberの初期状態と近いと考えられます。

IMMAちゃんなど

https://www.instagram.com/imma.gram/

今村個人はモーニング娘。のファンなのですが、彼女らもオーディションでの増員方式、AKBもおニャン子クラブもジャニーズも数で戦っている印象です。アイドルもかつてはソロ、松田聖子や中森明菜、郷ひろみなどが戦っていた中で大型人数に遷移しています。
これはどの産業にも通じること(YouTuberもヒカキン→グループ化&多角化。ボカロも初音ミク→多種キャラクター)ですが、往々にして成果を取れる存在はその後の高くしたモノを取りまとめるひとたち(にじさんじ然り)であり、その「多角化」の領域にまで広がるか否かが決め手になってくると考えられます。

バーチャルヒューマンももうすこし、、?

2, キャラクターのデフォルメ度合いやファン層の棲み分け

バーチャルヒューマンとV Tuber、並べてみると明らかにリアル感が違います

比較ように並んでる画像探したけど、こんなコラボ企画もあるんだ

どちらも「実在しない人間」ということは間違いありませんが、ファン層は異なってくると考えられます。

ココナラの南さんが「いかに事業を考える時における変数を減らし、シンプルにするか」と言及していますが、これも大きな変数と考えます。

そもそも二次元カルチャーが好きな人は、さほど「ぬるぬる動くアニメ調のキャラクター」に抵抗が低いです。(約20年前のゴリっゴリポリゴンの頃から見てたし)

武装したラブライブ!もCGだったし

一方で人間的なモデルを好むであろう一般層が感じる、「ぬるぬる動くバーチャルヒューマン」への異質感は避けられない。変数の増加と考えられます。

ファンの層をどこ狙うのか?がかなり大事と考えられます。技術力とリアル感への恐怖はトレードオフなのでしょうか

海物語くらいのバーチャル感だったらギリ受け入れられやすそう

3, 開発費用がエグ高い

以前、イギリスのABBA視察noteでも描きましたが

これはあくまでイギリスの巨大プロジェクトの価格ですが、改めて巨額の費用がかかることは納得です。

この辺をうまくやってるのが花譜だと思います。こういう「歌ってみた」動画を出しているバーチャルヒューマンなのですが、

ぬるぬる動くぜ!

結構な頻度で止め絵での省エネ動画が投稿されています。

他の動画である程度キャラクターが確立されていることから省エネバージョンを出してもファンがついてくるという構成なのかなと。

無理な気力をかけ過ぎず「バーチャルヒューマン」という人柄を確立されています。

個人的にはイギリスで見たこともあり、バーチャルヒューマンの可能性は広いと考えられます。このポジションをとっていけるスタートアップが勝っていけるのかなと。思うなどしてみました。

6月12日(水) 69日目

と、いろいろと考察をしてみましたが。この日は投資先ウタイテオフィスに行く日!

ついったちょっと不安だったので社名は当時伏せました

ウタイテはシリアル企業家、倉田さんが手がける「歌い手」の事務所。

V Tuberとはまた違い、まふまふやすとぷりといった男性が多い「歌ってみた」業界の会社です。

普段触れ合うスタートアップは社員数が1~10人程度だったり、いっそ上場直前だったりしているのですが、ウタイテは約40名の急拡大フェーズの会社。

なかなか触れ合うことがないこともあっていかせてください!と頼み込んで一日いさせてもらいました。

そしたらちょうど数日後が第一グループデビューという緊急局面。(6月15日デビュー)バタバタの中お話させてもらいました。

倉田さんの身代わりカビゴン。

にしても「歌い手」的なカルチャーは2010年代からずっとあるのに、なぜ今まで事務所がなかったのか?を説いてみると、

「そもそも、2.5次元事務所モデルで儲かる、という事実がにじさんじ、ホロライブの成功まで確立されていなかった。またこのタイミングでもこの資本力(総額約19億円調達)を持って戦いに挑める存在がいなかったこと。その二点がかけ合わさっている」

とおっしゃっており。

そもそも今まで、サブカルチャーの会社≒クリエイターが設立するもの、的なイメージがあったんですよね。でも結局トップは経営的な頭脳が大事で。(つんく、秋元康は経営もすごいとは思うしリスペクトですが)ゴリゴリ経営者がトップのサブカル作りはどんな未来を描くのかな、とわくわく。

ただ一方、私は丸一日オフィスにいたのですが、

なーんのお手伝いもできない!

せっかくVCからオフィスに行ったのに、1日しかみれてないことからできることなんておしゃべりくらい。

気を利かせたCFOのまおさんが「ゆずさんの得意なものってなんですか?手伝ってくれたらいいなと」と声をかけてくれたのですが、

なんだろう。。お友達を作ることくらいしかない!

いやほんと、丸一日いて自分の無力さを実感しました。なにかに特化した知識があるのでも、営業ができるわけでもない。そんな自分は何ができるのか。

今今は難しくても、自分の力を見つけてためになりたいなと、探さないとなとしみじみ思いながら帰宅。

何度か書いておりますが、今村は高校生もいるシェアハウスに住んでおりまして。ふとお家の高校生の子に聞いてみたら歌い手はめちゃくちゃ流行ってるそう。
一つの事象に対してのリアルな意見をフラットに聞けるのも私のできることなのかも。と

6月13日(木) 70日目

毎週木曜日の勉強会。今回はIVSローンチパッドシード優勝の川島くんによるピッチ手法の勉強会。

攻略方法を教わりつつ、個人的に勉強になったピッチをする理由が以下。

1. 界隈で名が知れる(経営者イベントなら誰かには言われる)
2. 従業員に対してできることが増える(エンゲージメント向上)
3. 上場後IRの練習になる

特にこの、2の要素は個人的には想定外でした。

普段からスタートアップと関わっているとCEOのことが目に入ることが多いのですが、やはり働いてる人がモチベ高くいることこそが会社を回す力になる。

スタートアップしていく先の、メンバーを統率していく力は普段は見落としてしまうけど、結果一番大事だったりする。

やっぱりもっとスタッフを見よう。

6月14日(金) 71日目

アクセラレータープログラム、荒波の1週間目の最終日。今日は最後の発表日です。

プログラムが始まって1週間。参加者が現状の報告を行うのですがやっぱだんだんと離脱者が現れ始める頃。

もちろん、全ての人が起業をするべきとは思わないし、別でやりたいことがあったり、スタートアップではなのであればそれを優先させていくべき。

そうわかっていたとしても、まだまだ自分のエゴ≒自分が担当していた子が挑戦を止めてしまうことに抗ってしまう自分がいる。まだまだ未熟だなって感じます。

発表が終了したのち、一人の参加者に声をかけられました。

「周りと比べて自分が調達をできるほどの人間と思えない。だし、IPOとなるととても途方すぎて、現実的なM&Aを目指したい。でも投資家の前で嘘をつくのが厳しいなと思う」

今まで私は「投資を集めよう!」と踏ん切りがついている状態の人のピッチを聞いてきたし、このような揺らぎが生まれているというごくごく当たり前な瞬間に出会うことがなかなかなかった。

もちろん投資家は多少の予想の上振れは認知した上で投資してるし、あくまで事業計画は事業計画。【上場】という言葉のみに固執して投資しているわけではないし、何より未来は誰にもわからない。だから【嘘】なんてひとつもないのだ。信じるしか道がないとも言える。

でも、たとえ起業家だとしても人なわけで。資金調達をするまでには当然苦悩とか迷いとかがある。

その事実を知った上で、どのように起業家が事業と未来を信じられるように声をかけられるか。

そこを見逃さないようにしたい。

そんなことを思いました。

余談・
土曜日は久しぶりにお会いする友人と仲良しの起業家、私をスタートアップに導いてくれた三人が誕生日でした。運良くみんなに会えた(春日部まで行ったけど)

日曜日は住んでる寮で運動会があって。昨年の主催から約半年。今回は素直な参加者として参加しました。

1週間の総評

自分の歴史にいる全ての人や全ての事象が自分を形成していることを忘れないように。かなり過去と向き合った一週間でもありました。

スタートアップの方!そうでなくても!今村と30分mtgしましょう。↑のURLよりお申し込みください。

SVでは毎週木曜朝8~9時に勉強会を行なっております!是非お越しください。(次回は6月20日(木)予定です)

人生のターニングポイントをこのマップに刻んでいってください〜 https://universityofuniverse.net