数学美術館(螺旋)
今回の数学美術館のテーマは「螺旋」です。
3つ紹介します。
螺旋は曲線なんですが、今回は多角形で近似的に作成しました。
数学の知識が必要な部分は補足していきますが、「見て楽しんでいただく」がモットーの記事ですので、数学的なことが分からなくても大丈夫!!
楽しんでいってください。
1 アルキメデスの螺旋
まずは、てこの原理を見つけたアレクサンドリア時代の数学者アルキメデスが著書「らせんについて」の中で、この螺旋についての研究成果を述べています。
今回は、22.5°進むごとに中心からの線分の長さが1mm伸びるような点をとり、螺旋を作りました。
つまり1周すると、16mm伸びるような螺旋です。
もっと細かく点をとっていくと、曲線になります。
ちなみにこの螺旋を使うと、好きな角度を三等分することができます。
角の三等分は、コンパスと定規では不可能です。
この螺旋を極座標表示すると、
$${r=θ}$$
です。
2 ベルヌーイ螺旋
この螺旋は、ヤコブ・ベルヌーイによって研究された螺旋です。
この螺旋は、「等角螺旋」、「対数螺旋」とも呼ばれます。
作り方を簡単に説明します。
そして、次のように色を塗ると、螺旋が見えます。
今回は、正三角形、正方形、正五角形、正十二角形で螺旋を作りました。
美術品№5は、製作するのに2時間かかりました(笑)
中心部分は、私が使用しているシャープペンやマジックでは塗ることができませんでした。
この螺旋の一部を拡大あるいは縮小しても、元のベルヌーイ螺旋の別の部分と重なるという性質があります。(自己相似といいます)
この螺旋は、オウムガイの渦巻きや台風に見られます。
また、この螺旋は、次のような黄金螺旋を作ることができます。
この黄金螺旋は、次々に作っていくと、連続する円の半径が黄金比に近づきます。
3 フェルマー螺旋
最後にピエール・ド・フェルマーが研究した螺旋です。
この螺旋がひまわりの種の配列の的確なモデルです。
なぜこの螺旋が、ひまわりの種の配列のモデルなのか。
この螺旋の極座標表示は、
$${r^2=a^2θ}$$
です。
積分すると分かりますか、螺旋の描く渦巻きを1周増えるたびに、同じだけ面積が増えます。
もし種の大きさがほぼ均一ならば、1周に入っている種の数が同じです。
こっちの方が植物の成長過程のモデルとして的確だと、ロバート・ディクソンが説明しています。
おわりに
今回は、曲線の中の螺旋についてみていただきましたが、いかがでしたでしょうか?
ここに紹介した以外にも、螺旋は工業製品にも多く利用されています。
もし興味をもたれた方がいらっしゃれば、以下にこの記事の参考文献を載せますので、更に学習を進められてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!!
参考文献
・ 不思議おもしろ幾何学事典 D・ウェルズ 著
あまり有名ではないが面白いという定理を、図を用いてわかりやすく説明してくれます。
・ 折紙工学入門 野島武敏 著
著者が新たに創った「折紙工学」という視点で、折り紙の新たな可能性を感じさせてくれる1冊です。
カラーイラスト付きでとても分かりやすい1冊です。