岡潔さんが中学5年生のときに考えていた問題を解いてみた!!
こんにちは。
最近数学者の岡潔さんの著作にどっぷり浸かっております。
それは、以前記事に書いたのですが、「人間の建設」という本を読んでから、とてもこの方の考えに感銘を受けたからです。
今回の記事は、岡潔さんが書かれた著作の中に、ちょっとだけ書かれていた問題で、私にも解けそうだなと思ったので記事にしてみました。
証明は載せますが、数学が苦手な方でも見て楽しいでもらえるように、図も多く載せていきますので、最後まで読んでいただけるとうれしいです。
1 問題
さて、まずは取り組む問題からです。
完全四辺形とは、以下のような図形です。
証明することを、図にすると、以下の通りです。
図2の赤丸、青丸、黄色の丸は、それぞれ対角線の中点(真ん中の点)です。
その3つの点は、実は1本の直線上にあるから証明して!!です(笑)
岡さんは、この問題に、このように取り組んでいたようです。
う~ん。
私も鼻血が出るまでできるかわかりませんが、粘ってみます(笑)
また、このようなことがあってから、
とあるので、このように熱中する経験は必要かもしれませんね。
2 本当に一直線上にあるの?
そもそも本当に一直線上にあるのか。
実際に作図して調べてみました。
作図する四角形は、完全四角形にならないといけないので、辺を延長する前の四角形は、台形はだめです。
もちろん平行四辺形やひし形、長方形、正方形も。
次に辺を延長する前の四角形のパターンとして、次の4パターンを考えました。
ここで、鈍角とは90°より大きく180°より小さい角です。
鈍角が1つだけある四角形
鈍角が2つで、それが隣り合っている四角形
鈍角が2つで、向かい合っている四角形
鈍角が3つある四角形
まず鈍角が1つだけある四角形です。
次に鈍角が2つで、それが隣り合っている四角形です。
次に鈍角が2つで、それが向かい合っている四角形です。
最後に鈍角が3つある四角形です。
ということで、どのパターンも1本の直線上にありそうです。
これを最初に思いついた人、すごいですね(;・∀・)
3 証明までの道のり
ここからはがっつり高校の数学を使っていきます。
もし苦手な方は、「5 おわりに」へ飛んでください。
数学アレルギーが発症してしまっては手遅れですΣ(゚Д゚;≡;゚д゚)
高校生の方であれば、良い練習問題になると思うので、取り組んでみてください!!
では、まず証明するために使えそうな知識です。
高校生なら、このように一「直線上にあることを証明」なら、ベクトルだと予想しますよね。
私もベクトルで証明します。
次に、証明するための適切な図をかきます。
図は数学にとって、とても大切ですね!
次に、$${s>1 , t>1}$$を用いて、$${\overrightarrow{OD}=s\overrightarrow{OA} , \overrightarrow{OE}=t\overrightarrow{OB}}$$とします。
さて、一直線上にあることを示すには、$${\overrightarrow{EF}=k\overrightarrow{FG}}$$を示せばOK。
ただし、$${k}$$は実数です。
つまり、$${\overrightarrow{OE} , \overrightarrow{OF} , \overrightarrow{OG}}$$を$${s,t,\overrightarrow{a} , \overrightarrow{b}}$$で表せればいいです。
それができなさそうなのは、$${\overrightarrow{OE}}$$です。
なぜなら、$${\overrightarrow{OC}}$$が$${s,t,\overrightarrow{a} , \overrightarrow{b}}$$を使って表せないからです。
ここで活躍するのが、メネラウスの定理です。
・ メネラウスの定理
メネラウスの定理の証明
BDと平行な直線AFをかきます。
△OBDで、BD//FAより、
$${\frac{OD}{DA}=\frac{OB}{BF}}$$ ・・・①
△EFAで、BC//FAより、
$${\frac{AC}{CE}=\frac{FB}{BE}}$$ ・・・②
よって、
$${\frac{OD}{DA}・\frac{AC}{CE}・\frac{EB}{BO}}$$
は、①、②より
$${\frac{OB}{BF}・\frac{FB}{BE}・\frac{EB}{BO}=1}$$
と言えます。
4 問題の証明
・ AEの内分点Cの内分比を求める
$${AC:CE=x:(1-x)}$$とします。
このとき、△EOAと直線BDでメネラウスの定理を使う。
$${\frac{OD}{DA}・\frac{AC}{CE}・\frac{EB}{BO}=1}$$
$${\frac{s}{s-1}・\frac{x}{1-x}・\frac{t-1}{1}=1}$$
$${\frac{x}{1-x}=\frac{s-1}{s(t-1)}}$$
これを$${x}$$について解く
$${(st-s)x=s-1-(s-1)x}$$
$${(st-1)x=s-1}$$
$${x=\frac{s-1}{st-1}}$$
・ ベクトルOE, OF, OGをベクトルa, bで表す
$${\overrightarrow{OA}=\overrightarrow{a} , \overrightarrow{OB}=\overrightarrow{b}}$$とします。
点EはOCの中点だから、
$${\overrightarrow{OE}=\frac{1}{2}\overrightarrow{OC}}$$
$${\overrightarrow{OC}=\overrightarrow{a}+\frac{s-1}{st-1}\overrightarrow{AE}}$$
ここで、$${\overrightarrow{AE}=t\overrightarrow{b}-\overrightarrow{a}}$$だから、
$${\overrightarrow{OC}=\overrightarrow{a}+\frac{s-1}{st-1}(t\overrightarrow{b}-\overrightarrow{a})}$$
$${=\frac{st-s}{st-1}\overrightarrow{a}+\frac{st-t}{st-1}\overrightarrow{b}}$$
$${\overrightarrow{OE}=\frac{st-s}{2(st-1)}\overrightarrow{a}+\frac{st-t}{2(st-1)}\overrightarrow{b}}$$
次に、点FはABの中点だから
$${\overrightarrow{OF}=\frac{1}{2}\overrightarrow{a}+\frac{1}{2}\overrightarrow{b}}$$
最後に、点GはDEの中点だから
$${\overrightarrow{OG}=\frac{1}{2}s\overrightarrow{a}+\frac{1}{2}t\overrightarrow{b}}$$
・ 点E, F, Gが一直線上にあることを示す
上述したことをもう一度かきます。
$${\overrightarrow{OE}=\frac{st-s}{2(st-1)}\overrightarrow{a}+\frac{st-t}{2(st-1)}\overrightarrow{b}}$$
$${\overrightarrow{OF}=\frac{1}{2}\overrightarrow{a}+\frac{1}{2}\overrightarrow{b}}$$
$${\overrightarrow{OG}=\frac{1}{2}s\overrightarrow{a}+\frac{1}{2}t\overrightarrow{b}}$$
$${\overrightarrow{EF}=\overrightarrow{OF}-\overrightarrow{OE}}$$
$${=\frac{st-1-st+s}{2(st-1)}\overrightarrow{a}+\frac{st-1-st+t}{2(st-1)}\overrightarrow{b}}$$
$${=\frac{s-1}{2(st-1)}\overrightarrow{a}+\frac{t-1}{2(st-1)}\overrightarrow{b}}$$
$${=\frac{1}{2(st-1)}((s-1)\overrightarrow{a}+(t-1)\overrightarrow{b})}$$
$${\overrightarrow{FG}=\overrightarrow{OG}-\overrightarrow{OF}}$$
$${=\frac{1}{2}s\overrightarrow{a}+\frac{1}{2}t\overrightarrow{b}-\frac{1}{2}\overrightarrow{a}-\frac{1}{2}\overrightarrow{b}}$$
$${=\frac{s-1}{2}\overrightarrow{a}+\frac{t-1}{2}\overrightarrow{b}}$$
よって、
$${\overrightarrow{FG}=\frac{1}{st-1}\overrightarrow{EF}}$$
これで、点E, F, Gが一直線上にあるといえました。
5 おわりに
さて、今回は対角線の交点が一直線上にあることについて考えました。
実はこの直線、名前があります。
ニュートン線と呼びます。
このニュートン線については、次のような性質もあります。
作図してみると、たしかに言えそうですね。
もし興味がありましたら、取り組まれてみてください!!
予想ですが、アンの定理というのが使えるかもしれません。
また、プリュッカーは、次のことを証明しています。
今回はベクトルを使いましたが、解析的にできないかな~と試行錯誤したのですが、文字が多く出てきて挫折してしまいました。(´;ω;`)ウゥゥ
「春宵十話」に出てくる面白い定理をもう一つ他の記事で紹介します!!
最後まで読んでいただきありがとうございました!!
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