見出し画像

泣かせる手紙HOW TO

 「昔から手紙が好きでした」と、言ったら嘘になります。ああいった文化はどちらかというと嫌いの方に入ります。なんか書く方も貰う方もむず痒いし捨てにくいし……。なんか相手方に色々気を遣わせてしまいそうでなんとなく嫌なんです。

 出会いと別れの季節、必然的に上司や友達に餞別を贈る機会があると思います。誰にでも。そんな時に贈り物と一緒に必ずお手紙を付けなさい、と私は母から口煩く言われて育ってきました。その為お世話になった恩師や離れ離れになる友達など沢山の人々に手紙を書いてきたと自負しているのですがまぁこれが百発百中。私の手紙をもらった人は98%泣きます。最悪泣きはせずともウルっとはきます。

 と言うものの、前述した通り相手方が私に対して忖度して下さっている可能性も大いにあります。しかし、それもまた相手のご好意。有り難く頂戴いたしましょう。

 と、前置きはこれくらいにして本題に入ります。まず泣かせる手紙とは?

 そもそも自分がもらって嬉しい手紙ってなんでしょうか。感謝の言葉?新たな門出を祝うフレーズ?今までの思い出?
 いや違います。それではありふれた色紙の寄せ書きになってしまいます。私が思うにもらって嬉しい泣かせる手紙の定義とは……

「いかに相手が自分のことを理解していたか否か」

 ……です。
具体例を挙げると「あの時のあなたが素敵だった」とか「あなたってこういうとこあったよね」とか「あなたのこういうところが私は大好き」
……みたいな相手が「そう!そういうこと言って欲しかったの!」といった相手の欲しい台詞や痒いところに手が届くフレーズをどれだけ文字化できるかどうかに限ると思います。

 もちろんこれは普段から相手をよく見ていないとできない芸当ですがあなたが直感的に思ったこと、当たり前のことでもいいんです。そういったことを詰め込みすぎず自然に文章の中に上手く散りばめる。そうすると読み手も素直にするする頭に入ってきますし相手の自己肯定感を上げることも出来ます。

 しかしながらこれはまだ布石。これだけでは相手も泣きはしません。ただ「へぇ、俺って実はこういった面もあったんだなぁ」と認識するだけで書き手のことなど印象に残りません。

 相手の具体的エピソードと存在肯定を上手く書き上げた後に自分の素直な気持ちを書きましょう。「あなたがいなくなって寂しい」「一緒に仕事をしたとき、遊んだとき、こんなことが楽しかった」のような今までの経験から言えるエピソードと自分の気持ちを繋げて文章を紡ぎ出します。
 そうすることにより文章により厚みと温もりが出ます。初めは「あなた」のことをフィーチャーしましたが中間から最後にかけては「私」の気持ちを素直に伝える。これだけで相手はあなたの愛のこもった手紙を握り締めながらひしひしと泣き崩れることでしょう。
 そして最後に感謝の気持ちとこれからの応援の思いを適度にまとめます。そう!これだけであなたの存在はもう相手にずっとついて回ります。あの時あいつ、泣ける手紙くれたよなぁ……まだ残ってるかなぁ……と中毒のように定期的に読み直したくなる素敵な手紙の出来上がりです。構成をまとめると

①相手の長所や好きな部分などを具体的なエピソードを交えて書く

②自分の素直な気持ちを書く

③感謝と応援のメッセージ

 これだけです。これだけであなたの気持ちは充分伝わります。結局餞別なんて気持ちなのです。どれだけ高価な品を贈っても何のメッセージもなくただ渡されただけでは全然思い出に残らないですし、逆に粗品でも気持ちのこもった直筆のお手紙が同封されていたらそれだけでもらった方は嬉しいものなのです。

 最近は新型コロナウイルスの騒ぎで送別会もなかなか開催が難しいですが今一度大切な人にお手紙を送ってはいかがでしょうか。LINEやTwitterとはまた違った魅力が手書きの文字にはあると思いますよ。