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ALCOVA-ミラノサローネ2022

ALCOVAは独立したプラットフォームとして、ミラノ周辺の歴史的な場所や空き地を使いながらデザインの展示、インスタレーション、パフォーマンスを運営させています。本年度は、廃墟となった軍事病院とその敷地一帯を会場に、著名な作家から若手デザイナーまで、またテクノロジー、アート、素材実験など、幅広いジャンルが集っていました。

歴史を感じさせる建物設備、元軍事病院という堅牢で冷たい空間の窓からは鬱蒼と生い茂る緑が見えます。時が止まったような空間の中で、数多くの自由で野心的な展示が展開されている様子は、個人には結構刺激が強かったです。

ALCOVAのメインに据えられていたのが、天然石ブランドSolidNatureと、デザイナーSabine Marcelis、建築事務所OMAによるコラボレーション展示。会場入り口には、9種類のオニキスを使用したインパクトのあるウォールインスタレーション。

Sabine Marcelisは、ペールピンクの大理石による、高さ2.4メートルの自立したバスルームをデザイン。バスタブ、シャワー、洗面台、収納、鏡といったバスルームに必要な機能が、様々な形で合わさってダイナミックなボリュームを構成します。まさに石から"切り出された"ような圧倒的な存在感のバスルーム。バスルームという日常空間とは全く異なる、自然のオブジェのような印象を受けました。

奥のラボルームでは、カラフルな大理石サンプルの展示や、大理石の粉を使った実験が展示されていました。なかなか普段触れないスケールの、天然石というマテリアル自身が持つパワーを感じることができ、新鮮な面白さがありました。

ALCOVAでは様々な実験的な展示がありましたが、Studio Plastique、Snøhetta、Fornace Brioniによるリサイクルガラスタイルも面白かったです。廃棄された冷蔵庫、オーブン、電子レンジのガラス部品を再利用したタイルコレクションForiteは販売が開始されるそう。ガラスはリサイクル自体は容易(溶かして再生でき品質劣化しにくい)反面、製品ガラスはコーティングや加工がされているので、リサイクルすると綺麗な透明ガラスにするのが難しいです。こうした性質を受け入れて美的に乗り越えていこうとする姿勢がとても興味深かったです。


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