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【10分で読める】 -工程表作成と工程管理の基礎知識- 現場監督・施工管理者のための「図面が全て」である考え方 

【10分で読める】 -工程表作成と工程管理の基礎知識- 現場監督・施工管理者のための「図面が全て」である考え方


閲覧ありがとうございます。
前回の記事で施工計画について解説しました。
まだ読まれていない方はこの記事を読む前に前回記事である

【10分で読める】
-施工計画の原理原則-
現場監督・施工管理者のための基礎知識 施工計画の組立て方

こちらを一読願います。
なぜかというと、本記事はこちらの記事を読んでいただいたことを前提に解説を進めるからです。
では、
-工程表作成と工程管理の基礎知識- 
現場監督・施工管理者のための「図面が全て」である考え方
について解説していきます。

今回の記事は以下の3ステップで解説します。


建物は全て繋がっている

貴方は有名な建物やかっこいい建物を見た時どのように感じるでしょうか。
「こんな建物ができるなんてすごいな!」
「こんな建物の建設に関われたら誇りに思えるだろうな!」
と思われるのでしょうか。
私はこのように思います。
では、有名な建物やかっこいい建物はどのようにして建物として成り立っているのでしょうか。
すでにご存知かもしれませんが、まずは建物の成り立ちについて解説します。

建物は地盤によって支えられています。この地盤を支持地盤と言います。普段私たちが見ることは無い、地下深くの地層のことです。建物の規模によりますが何十t、何百t、何千t、それ以上にもなる重量を支持地盤に支えてもらうことで建物が安定して建つことができます。
建物の重量(荷重)を支持地盤に伝達する役目が杭です。私が打ったことがある最長の杭で30mですが、埋立地では50mもあると聞きます。条件によってはもっと長い杭が必要かもしれません。
杭の上部には耐圧盤、基礎、基礎梁があり建物の土台をつくります。
ここまでが杭・基礎工事になります。

基礎の上からは私たちがよく目にする、柱や梁、床、壁が現れます。これらは人や物、風、地震等で生じる荷重を効率良く基礎に伝達するように設計されています。
ここまでが人で例えると骨格になります。建築的に言うと躯体部分になります。
決して動いてはいけないフレームですね。
ここまでが躯体工事になります。

次にこの躯体に対して、外装、内装といった装飾をしていきます。
外装は常時風荷重を受けるため、基本的に動くものとして設計します。
しかし、外装を支持する部材は動いてはいけません。
また外装の役割は、耐火性能と雨水を内部に入れないことと意匠性が求められます。
内装は風荷重との関係ありませんが、建築基準法の防火区画という考え方により動いてはいけない耐火仕様の壁が存在します。
この他の天井や天井下の壁は動くものとして考えます。
また内装の役割は基本的に耐火・遮音・性能と意匠性が求められます。

超ざっくりと書きましたが、上記の内容は建物の成り立ちとしての基本ルールです。これをわかっていないと建物を建てる上での感覚が掴めません。

次にそれぞれの繋げ方について解説します。
杭と基礎工事に含まれる耐圧盤、基礎、基礎梁はもちろん繋がっており、繋げる役目は鉄筋とコンクリート、もしくは鉄骨になります。これは構造形式がRC造なのかS造なのかSRC造なのかによって変わります。
基礎と柱はどのように繋げるのでしょうか。
これも鉄筋とコンクリート、もしくは鉄骨です。このため、先に差し金を入れたり、打ち継ぎ面の脆弱コンクリートの除去や清掃をしたり、鉄骨を組みます。

躯体工事は、柱、梁、壁が繋がっています。繋げる役目は先ほどと同様で鉄筋とコンクリート、もしくは鉄骨になります。これも構造形式がRC造なのかS造なのかSRC造なのかによって変わります。
※RC造において壁や梁に構造スリットを入れて、強制的に繋げない手段が採用されます。

躯体と外装、内装はどのように繋げるのでしょうか。
外装であればコンクリートを打設する前に仕込む金物です。
内装でS造であれば鉄骨梁のフランジ下端に先付けした捨てプレート、RC造、SRC造であればそのままコンクリートに繋げて良いです。
ここまでが動いてはいけないもの同士の繋がりです

外装材同士の繋がりはどうでしょうか。
外装材同士は動く物同士です。まずは動いた時にお互いが干渉しないようにします。また、内部に雨水が入らないような納まりにします。このような条件をクリアする必要があるため、動きに追従して、止水性能があるシーリングを用いることが一般的です。

内装材同士の繋がりはどうでしょうか。
耐火仕様の壁と天井のは動かないものと動くものの組み合わせです。
よって、基本的には繋げません。建築的には縁を切ると表現します。
天井は耐火仕様の壁を施工した後に組みます。
この際、天井周りに見切りを付けて5mm程度のクリアランスを設けます。
天井と天井下の壁は動くもの同士なので繋げて良いです。
天井下の壁は天井軽鉄下地と床に固定するため、施工要領上、繋げるしか方法がないと表現しても良いですね。

長くなりましたが、建物は縁を切りつつも全て繋がっていることをご理解いただけたでしょうか。
この感覚があれば、図面の見方が変わってきます。
どのように図面の見方が変わるのか次項目で解説します。

建物は図面が命

建物は図面を基につくられます。
設計図は設計者が法規を遵守しながら想いを詰め込んだ図面です。
施工図は建物をつくるための図面です。

工事担当者と協力会社は施工図通りに工事を進める必要があります。
施工図が間違っているとそのまま現場も間違ってしまいます。
また、決して自分の思い込みや感覚だけで工事を進めても間違ってしまいます。
現場で違和感を感じたら図面を見る。図面を確認しても理解できないなら施工図担当者に聞いて納得してから指示を出す、作業を進める。
これを省いて工事を進めると、高確率でやり直しになります。
経験の浅い施工管理者が自分で考えることは、だいたい間違っています。
私はこれで何度も痛い目に遭いました。忙しいと判断が鈍ってしまうのはとても分かりますが、一度立ち止まるのも立派な仕事の進め方です。
そこで貴方が立ち止まって確認することで図面のミスが見つかり、修正することができれば現場にとってプラスになり、確認行為によって貴方の理解が深まれば貴方にとってプラスになります。

前述した現場で感じる違和感はとても大事にして欲しい感覚です。
これは図面を読み取る力が付いてきたか、図面の見方がわかってきたからこそ感じられるものだと考えます。
図面を読み取る力とは、
例えば、コンクリート躯体図通り
鉄筋、型枠工事が進んでいるか
目地の位置が合っているか
打ち込み金物の位置が合っているかを確認できる能力です。
また、コンクリート躯体図の各種寸法(形状、レベル、寸法の取り方)が正しいか
構造図とコンクリート躯体図を見比べた時に鉄筋が納まるようになっているかどうかを確認できる能力です。

図面の見方とは、
またコンクリート躯体図で例えると
外装との目地の位置は合っているか
鉄骨関係や外装用の打ち込み金物の位置が合っているか、記載漏れがないかを確認できる能力です。

前者はコンクリート躯体図単体もしくは構造図との照らし合わせで確認ができます。
後者は他業種との関わりを理解した上で図面を確認する能力です。
図面の見方を習得するには経験が必要ですが、習得するのに特別な能力は不要です。
先ほどの項目で記載した通り、建物の繋がり方をイメージすれば
「どこにどのようなものがあるはず」
と思って図面を見るようになるため、思っていたものがなければ違和感が生まれます。
よって、図面を読み取る力だけではなく図面の見方も身に付け、少しでも早く違和感を感じれるようになると、図面起因の施工ミスが減って無駄な手直しが無くなります。
建物は図面からつくられるのですから、図面が命なのです。
図面にミスがないようにすることが命を守ることになります

工程表作成と工程管理の基本

やっと本題です。
前置きが長くなった理由は、
工程表作成も工程管理も今までの解説内容が理解できていないと成し得ないからです。
どのような作業をするのかは図面にしか書いていないのに、
図面を見れない人が工程表を作成できるでしょうか。
工程管理ができるでしょうか。
前回記事の施工計画ができるでしょうか。
間違いなく上記の内容はできません。

だから、「図面が全て」なのです。

ちなみに見積りも図面があるから可能になります。
品質もどこが要点になるかは図面で決まります。
コスト・品質に関しても図面が命になります。

工程表の作成は図面から必要な作業を把握し、作業順序を組み立てることから始まります。
次に前回記事の施工計画を行い、予想歩掛りを算出するとともに、作業量を把握することで、作業日数を決めます。
工程を決める際は、予想歩掛りと作業量を数字にして計算することで、作業日数も明確な数字として計算しないといけません
1つ1つの工事はこれで良いですが、他に考えることは
異業種が同じ場所で作業することになっていないか
各種工事の作業場所や資材仮置き場が確保できるか
上下作業になっていないか
安全通路が確保できているか
搬入動線が確保できているか
簡単に説明するとこれだけです。
工程表作成の作業は
各工種でやるべきことを明確にし、
上記が成り立っているかパズルの組み立てをするような感覚です。

工程管理は、工程表で決めた工程を揺るがない精神で遵守するだけです。
揺るがない精神とは、
何か問題が発生しても、どのように改善すれば良いのかを常に前向きに諦めずに考えることです。
現場監督が諦めたらそこで現場(試合)終了ですからね。
工程表を作成する上で、数字で根拠を持って作業日数を決めているため、問題改善するには
作業方法を変えて作業効率を上げるか
機械、道具を導入して作業効率を上げるか
職人さんを増やすか
を行い、歩掛りを上げるか、人的補填を実施します。
または関係協力会社を集めて綿密な打合せを行うことで現場での協力会社間の調整を極力排除します。言い方を変えると、それぞれの協力会社が工程に対して真っ直ぐに向かっていけるようにします。
この綿密な打合せ内容から逸脱することは許さない雰囲気作りも大事です。

まとめ

ここまで読んでいただきありがとうございます。今回の記事では、「図面が全て」であることをご理解いただけるように解説しました。
工程表作成
工程管理
施工計画
※コスト・品質
上記の基は全て図面です。

これらをご理解いただいた上で、解説した工程表作成や工程管理に取り組んでください。そうでないと、間違った工程表を作ることになり、工程管理をする恐れがあります。
次回は私の発信を見続けていただくことで得られる未来像を解説します。
その後は、有料版で実際の工程表の作成方法を解説していきます。


記事は以上になります。
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